2020.09.04 17:00

不安も多いオンライン授業のメリットとは?
非常時も学習できる安心感はどこから来るか


地方の魅力が拡散できるSNSの形とは

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月2日から春休みまでの休校要請が発表された。東京都をはじめ、多くの自治体が5月31日までの休校を決めた。春休みが少し延長するくらいと思われた、いわゆる「コロナ休み」が、3ヵ月にも及ぶと予想していた人は少ないだろう。それから半年が経った現在でも、オンライン授業が実施されている学校は少なくない。

学校へ行けなくなった子どもや親の心配は、学習の機会がなくなり、遅れが生じること。学習塾も休止となり、家庭学習では限界があった。

4月16日時点で、臨時休校を実施した学校(公立小中高・特別支援学校など)は25,223校。 各学校でどのような家庭学習指導をしているかは、以下のような回答がある(複数回答あり)。
  • 教科書・紙の教材を活用 100%
  • テレビ放送を活用 24%
  • 教育委員会が独自に作成した授業動画を活用 10%
  • 上記以外のデジタル教科書・教材を活用 29%
  • 同時双方向型のオンライン指導 5%
  • その他 12%
<参考:文部科学省/新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について>

中でもテレビ会議システムなど、同時双方向型のオンライン指導を用いた「オンライン授業」が、新しい動きとして話題となった。「授業の代わりになるくらい発展していく」「対面指導でないと不安」など、賛否両論あるオンライン授業。メリット・デメリットを見ながら、改善点や今後の可能性を考える。



オンライン授業はコロナ以降も必要になる?

学校保健安全法第20条により、学校の設置者は感染症の拡大を抑えたい場合に、学校を臨時休業させられる。また第26条により、災害時・非常時は安全を第一に考慮し、学校の判断で適切な対処が求められる

3月の休校・自粛ムードで、東日本大震災を思い出した人は多いだろう。震災下でも安全を考え、関東でも多くの学校が休校となった。被災地では再開までに2ヶ月以上かかった学校が多いという。夏から秋にかけて、台風が発生した場合も同様だ。2019年、台風15号・19号の際も、多くの学校が休校となった。とくに19号の際は、複数の鉄道会社で計画運休が行われたため、電車通学をしている生徒はどうしても学校に行けない事態となった。

日本は自然災害の多い国だ。災害時の休校は例年起こるが、安全と学習のどちらを優先するか、被害が浅いうちでは判断が難しい。またインフルエンザのような感染症の流行により、できるだけ外出を控えたい状況は、毎年出てくる。

オンライン授業が普及すれば、非常時でも生徒たちが学習できる。そうは言っても、現状では5%の学校でしか、同時双方向型のオンライン指導は普及していない現実がある。

学習のための「1人1台端末」は実現する?

とくに多くの学校で問題となったのが、インターネット環境だ。設備がない、家庭ごとに環境に差があるという事情から、オンライン指導に踏み切れない場合が多い。

一方、小学校でプログラミングの授業を導入するなど、2020年度以降からはじまる新学習指導要領では、教育のICT化が推奨されている。2018〜2022年度は「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」として、で単年度1,805億円の経費で環境の整備を進めていた。

<参考:文部科学省/教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)>

さらに今年4月7日、「1人1台端末」を配布し、緊急時でも「すべての子どもたちの学びを保障できる環境」を早期実現させるため、2,292億円の予算案が出ている。

  • 「1人1台端末」の早期実現 1,951億円
  • 家庭学習のための通信機器整備支援 147億円
  • 学校ネットワーク環境の全校整備 71億円 など
<参考:文部科学省/令和2年度補正予算案への対応について(令和2年4月7日)>

さらに今年4月7日、「1人1台端末」を配布し、緊急時でも「すべての子どもたちの学びを保障できる環境」を早期実現させるため、2,292億円の予算案が出ている。


全国では、多くの学校がプリント配布などによる対応をしている中、教科書の郵送も遅れてしまう地域も発生した。今年は休校による教育格差が、生徒や親にとって心配だろう。一刻も早い平等な環境の整備が期待される。


学習以上にオンライン授業が与えるものは?

たくさんの学校が、それぞれできる形で学習の場を提供している。岐阜県はアンケートを行い、95%以上の家庭がオンライン授業に対応できると判断したため、全県立高校でオンライン授業を導入した。接続などに問題があったのは最初だけで、慣れていくうちに対応できるようになった。

また「体育などの実技は難しい」とされてきたが、部活動をオンラインで実施する学校もある。同時双方向型のオンライン上でトレーニングやミーティングを行い、部員同士で交流をしているという。学校に行けなくても勉強できる・人とつながれることは、子どもたちにとって心強いだろう。非常時は、子どもたちも不安が高まる。休校になれば友だちと会えず、生活スタイルが変わる。今年3月からの休校では、生活リズムを崩す子どもが多かったという。

教師から新しいことを教わり、友だちと学ぶ。今まで通りの形でなくてもこうした人とのつながりがあることで、安心感は大きくなるだろう。生活リズムも崩れにくく、学校が再開した際の戸惑いが少ないと期待できる。

学習を提供する以上に、学校とのつながりを続けることが、今回の休校要請下では有効的だったと感じる。学校は、勉強する義務はもちろんだが、同世代の仲間と接する楽しさがある。オンライン授業は、非常時にずっと家にいる窮屈さや孤独を和らげる場としても、今後も必要とされるのではないか。



この記事のまとめ 
  • 現在、同時双方型のオンライン授業を導入している学校は、全体の5%
  • 地震・台風などの災害時、感染症拡大時の活用が期待できる
  • 文部科学省は2,292億円の予算で、1人1台端末の配布を実現させる予定
  • オンライン授業は、非常時の不安な子どもが、学校とつながるための手段となる

(執筆:林幸奈)

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