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現在よりひどかった、太平洋戦争終了時。この時代に中学生であった年代の生存者はもはや少ないが、その立場にあった人間として現在の災難であるコロナに対し、立ち向かう中学生に感想を述べたいと思う。
終戦の年は中学(旧制)2年であった。中学1年から2年の間は農家や工場へ毎日動員され、その間の講義はなかった。終戦後に中学へ戻ったが、2年生の時の講義は9月から翌年の3月までだった。半年以上も工場動員であったが3年生になってからも補修はなく、“9月に始業式”などの変更もない。
現在、新型コロナウイルスの影響で授業が受けられない子どもたちがいる一方で、勉強に意欲的な子どもたちの立場で考えれば、むしろ前倒し論が出よう。学生の能力は引き出せばもっと優れた状態になる。たとえば、この機会に飛び級を導入するのはどうだろうか。とくに日本は理系分野へ投資が増えてもよいのではないか。
私の時代は通常中学校は5年で卒業であった。すでにそのときから激しかった受験競争。私は当時始まったばかりの通信教育を受けたことを機に予習の重要性に目覚め、通常より1年短い4年で中学を修了した。いわゆる飛び級で旧制高校に入学できた。旧制高校の理系クラスの飛び級仲間は二割ほど。私だけに限らず、多くの学生が飛び級の可能性をもっていた。
動員中の勉学は自分で本の先読みをすることだったのが大きく影響していると思う。学生の能力は想像より高い。今は知っていることを塾で学びなおして満足しているのではありませんか。一般教養の力が落ちていると感じている。
近年は短大がなくなり、大学院が増設されている。少子化が原因の一つと思うが、どうなのだろうか。特許論文が増したのであろうか。大学院中退が増えたのではないか。大学院の学生を増やすことが目的ではなく、優れた論文を増やすことが目的であろう。
どうしようもない事情で思うように学校で学べない今だからこそ、自分で勉強方法を工夫して先取りしていくべきだ。学校の授業は復習であることを理解すると、勉強は怖くない。”