ひとり好きでもひとりで生きていくことはできない。
老いと向き合いながら社会とつながり、人とともに生きる大切さを知ろう!
2019.08.29 11:00
この記事のポイント
●こころ(理性と良心)を育て、互いに同胞の精神を持つことが大切。
●異なる宗教観を認め合い、世界は共存するべき。
●日本は宗教の面から考えると、人とともに生きていくための素質があるが、その活かし方が課題。
|平成から令和へ。日本人がこれからの目指すべき方向はどこか?
聞き手:佐藤
SOCIO編集長。
佐藤|
大分県人権教育講師・保護司の吉田宏信さんにお聞きします。
人とのつながり方において、平成はどんな時代だったと思いますか?
吉田|
平成時代は、社会に「もの」があふれ、その一方で「こころ」が失われた時代ではなかったでしょうか。ある実業家は「人の命は、金で買える」と豪語しました。社会には、殺人、強盗、詐欺、誘拐、差別、いじめ、嫌がらせ等々が横行しました。
佐藤|
本当の意味で豊かになったわけではないのですね。
吉田|
大人は、「振り込め詐欺に気をつけましょう」「簡単に人を信じないようにしましょう」とあいさつを交わしました。子どもたちには、「道で人に会ったら、用心しましょう」「声をかけられたら、逃げましょう」と教えなければなりませんでした。こうした社会に危機感を抱いた一部の政治家や指導者たちは、にわかに「もの」と「こころ」の豊かな社会づくりをうたいましたが、どうにもなりません。
佐藤|
令和はどんな社会を目指していくべきでしょうか?
吉田|
令和時代に生きるわたしたちは、「もの」以上に「こころ」に価値を見出さなければなりません。いま、わたしたちは民主主義社会を目指していますが、「もの」の社会では自由も平等も得られません。豊かな「こころ」の社会をつくる必要があります。
佐藤|
なぜそう思うのですか?
吉田|
世界人権宣言は、すべての人間に自由と平等を保障していますが、そのためには、すべての人間に豊かなこころを求めています。つまり、「自由」も「平等」も、豊かな「こころ」なしには保障されてないのです。すべての人間は「こころ」(理性と良心)を育てて、互いに同胞の精神をもって行動しなければなりません。
佐藤|
何をもって豊かなこころとするのか、深く考えていきたいと思います。