●自分を持っている人になる【後編】

だれかに認められると自信がつく。でも、だれかの声に支配されるのはやめよう。自立するための直観力ってなに?
2019.09.13 11:00

|「直観」で自分と向き合い真理を探る
佐藤|
人間ブッダ研究会・会長の黒坂和雄さんにお聞きします。黒坂さんが会長を務められている人間ブッダ研究会は、最古の仏教聖典とされる『スッタニパータ』から説法を聞き、内省・自覚して力強く生きようとするための集まりだそうですね。
宗教は自分と向き合う方法のひとつですが、日本では信仰心の強い人に対して偏った見方をする場合があります。ブッダに詳しい黒坂さんから仏教について教えていただき、自分との向き合い方を深めていきたいと思います。

黒坂和雄(くろさか・かずお)

人間ブッダ研究会 会長。

著書に『ブッダの闘い』。

黒坂|
仏教という宗教は、「いかに生きるか」ということを中心にしています。仏教の教えが、それを説く人の人間性そのものであるとするなら、わたしは仏教の起源とされるゴータマ・ブッダ(釈尊。一説によると西紀前436~383)の人格に触れるのが最適だと考えています。ブッダの教えが説かれているのが、最古の仏教聖典『スッタニパータ』なのです。
佐藤|
一般的に、ブッダは知っていても、『スッタニパータ』は知らない人が多いです。
黒坂|
生活のなかで折に触れて『スッタニパータ』を読むと、そこにはゴータマ・ブッダがおられます。仏教の起源は、わたしたちが思っているよりも具体的でわかりやすい言葉で説かれていて、人として歩む道を示してくれています。これは時代や国をも超えるものです。
佐藤|
具体的にはどんなことが説かれているのでしょうか?
黒坂|
1つの言葉を紹介します。「一切のものは因縁により生滅する」これはゴータマ・ブッダが発見した真理のひとつで、智慧(知恵)につながります。一切のものは実体(実在する本体)がなく、無常なのです。あらゆるものは教義とか思想とか固定したものではとらえることができません。変化し創造して止まない無常の「今」を直観し、現実の事態に処する、己れの生命のありのままに生きるということです。自己の拠り所は自己であるといえます。
ゲーテ(1749~1832)も言っていましたが、「知ることよりも、考えることの方が重要である。しかし、考えることよりも、直観することの方が、もっと重要である。」ということなのです。
佐藤|
ありのままを直観することが大切なんですね。わたしたちが人間である以上、考えることはやめられませんが、考えすぎてしまうと自分という存在を保てなくなるのかもしれないと感じました。自分を自分で支えられるよう、自分のものごとに対する見方を信じられる「直観力」を磨いていきます。
 
【前編】・【後編】を通して「自分を持つこと」を考えてきました。自分を持っている人を見ると「魅力的だな」と思わせられますが、その魅力的な人に自分もなるためには、いろいろな自己啓発的なことをやらなければいけないという考えでした。しかし、今回さまざまな話を聞いてみて考えが変わりました。自分を飾ることよりもありのままでいることの方がずっと難しく、だからこそ大切なのです。
この記事のまとめ
●社会の「普通」にとらわれず、自分が見たもの・感じたものを信じよう!
●「直観力」が自分をつくり、自分を支えてくれる。

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