2020.05.08 16:00
やりたいことだけやるのは甘えじゃないの?
誤解されやすい新型うつ(非定型うつ)について知ろう

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仕事に行くと思うと身体が動かず遅刻・欠勤するが、休日になると元気に遊びに行ける。

職場にこのような若手社員がいたらどう思いますか?正直なところ、「甘い」「怠けている」と思った人もいるのではないでしょうか。

実はこの例、若者によくあるうつの症状なんです。「非定型うつ(新型うつ)」といわれており、うつを盾に甘えているのではないか、と誤解を受けやすい病気です。本人や周囲もまさか病気だとは思わず、本人の性格の問題だと思い負のループに陥っている場合があります。

日本人の約15人に1人はうつ病だといわれる現代。珍しいことではなく、職場に1人はいるだろうと思った方がよいでしょう。早期受診をし、医療機関による適切な治療を受けることが大切です。

そこで今回は、「新型うつ(非定型うつ)」に対する誤解を解いて正しく理解し、周囲の人はどのように接すればよいか考えていきます。

非定型うつ(新型うつ)の4つの特徴とは?

従来のうつは、「何をしても憂鬱で、趣味や好きなことが楽しめない」のが特徴でした。新型うつとも呼ばれる「非定型うつ」は、うつ病と憂鬱なのは同じでも、症状が少し違います。

 

【4つの特徴】

〇 軽い躁状態
一時的に行動が活発になる。
 →元気に趣味や好きなことができる

感情が不安定で不機嫌になりやすい。
 →わがままな人だと思われやすい

〇 発汗、動悸、息苦しさやパニック発作、倦怠感などの不安にもとづく身体症状を発症する
内臓の病気を疑い、まず内科医などを受診しても検査所見で異常が見つからない。
 →発見と治療が遅れ、症状が悪化しやすい


〇 過眠や過食の傾向がある
抑うつ気分(憂鬱で無気力な気分)のときに起こりやすい。
 →遅刻が増える、過食後は自己嫌悪に陥る


〇 他罰性が強い
自分が大変なのは会社や上司のせいだと主張する。
 →職場の人間関係が悪化する

<参考:厚生労働省 / こころの耳 Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?>

幼少期から軽度な発達障害の要素を持っている場合、仕事の不安が引き金となって抑うつ状態になります。本人が理解していなければ事態は複雑化し、人間関係のトラブルが起こるでしょう。

元々の性格が真面目でひかえめな人、周りからの評価を気にする人、挫折を知らなくてプライドが高い人がなりやすいといわれています。


よくある誤解「怠け者」「サボり」「甘え」

従来のうつ(長期にわたる食欲不振や不眠などの症状が特徴)に理解がある人ほど、「プライベートの時間を楽しむ余裕があるなら、病気ではなく本人の性格の問題だ」と思うのではないでしょうか。

しかし、うつ病ならは家でおとなしくしているはずだ、という認識は大きな間違いです。休養のために好きなことをし、楽しい場所へ出かけるのです。仮病とは異なります。

また、憂鬱な状態が短ければ病気が軽い、ということでもありません。実際には、多くの患者が休職から復職しても長続きせず、思うように働けなくて困っています。

では、うつと甘えの違いとは一体なんでしょうか?ポイントとなるのは、心の負担が身体的な症状となって表れているかどうかです。上司は「甘え」や「ゆとり」という言葉で片づけないように注意しましょう。

患者に対する「好きなことだけ頑張るわがままな人」という誤解が、他罰性を強く引き出す可能性があります。

非定型うつ(新型うつ)は治療と予防ができる病気です。しかし、本人の気持ち次第でよくなるものではないことを理解してください。「あなたならできるよ。がんばれ!」といった励ましが逆効果・・・なんてこともあります。

ダメ出しや説教は逆効果、適切な3つの配慮が必要

仕事のミスを上司から叱責された経験がきっかけで、心身ともに体調を崩す場合があります。上司の顔を見たり声を聞くだけで不安がフラッシュバックし、震えや吐き気などの身体的な症状が表れるようになるのです。

だからといって、腫れものに触るように扱うべき、といいたいワケではありません。適度なストレスはやりがいや達成感などポジティブな感情を生み、人の成長を助けます。
では、どのように配慮していけばよいのでしょうか?

【3つの配慮】

〇否定を並べただけのダメ出しは厳禁
ダメ出しや説教は自己否定の感情を大きくするだけで、成長につながらない。
 →「〇〇する方が望ましい」という伝え方をする。(感情ではなく具体的な行動提案)

〇小さなことでもほめ、成功体験を積み重ねていく
理想のハードルを下げ、自信をつけるとストレス耐性が高まる。
 →力を入れてほしいところや評価のポイントが伝わるような褒め方をする。


〇専門家と連携する
本人の資質と環境が複雑に影響し合っているため、診断が非常に難しい。
 →素人が決めつけず、産業医や産業保健スタッフ、主治医など専門家の指示を仰ぐ。



非定型うつ(新型うつ)になる人は、決してだらしなくて弱い人ではありません。責任感が強いからこそひとりで抱え込み、理想と現実の自分のギャップに苦しんでいます。治療の第一歩として、だれかに相談して弱みを見せることが必要です。

職場の人に相談したら昇進や評価に悪影響なのではないか・・・そんな不安を取りのぞくことからはじめてみましょう。


この記事のまとめ 

✔︎ 非定型うつ(新型うつ)は、いつも憂鬱な状態ではない。趣味や好きなことには活動的。

✔︎ 
心の負担が身体的症状(発汗、動悸、息苦しさやパニック発作、倦怠感など)に出ているかが「甘え」との違い。

✔︎ 否定的・感情的な言葉は状況を悪化させる。具体的な行動を「提案」→「ほめる」を繰り返し、ストレス耐性をつけさせていこう。

✔︎ 本人の気持ち次第でよくなるものではない。産業医や産業保健スタッフ、主治医など専門家の指示のもと連携しよう。

(執筆:佐藤志乃)

今回のコメンテーターからのご意見
・田上幹樹(たがみ・もとき)
東京都教職員互助会三楽病院附属生活習慣病クリニック名誉院長。『医師が教える、本当は怖い生活習慣病: 17の症例から見る、治せた人と治せなかった人の違い』の著者。
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気分の落ち込みが原因で日常生活に支障をきたしてしまう病気(「典型的うつ病」)では、いつも気分が晴れない、食欲不振・体重減少、早朝覚醒(不眠)、強い自責の念、などが特徴的な症状です。しかし症状は一様でなく、気分の変動の仕方、食欲、睡眠の良、否に関する回答が大きく異なる「うつ病」も稀ではなく、最近は「非定型うつ病(新型うつ)」と呼ばれています。

世界各地で行われた「うつ病」研究の成績をまとめてみると、「非定型うつ病」に特徴的な症状は、感情が反応的(うれしいことがあると気分がよくなる)、疲労感が強く外出するエネルギーがない、過食・体重増加、過眠(時には10時間以上)、身体が鉛のように重くて疲れる、他人の批判に過敏であり、批判が気分の落ち込みの引き金となる、ことなどが明らかになっています。

この「うつ病」は若い女性に多く、パニック障害など他の心の病気をしばしば合併しており、スム-スな日常生活を困難にしています。また多くの症例の分析により、他人の批判に超過敏になっているため親密な人間関係を築くのが難しく、人間関係に気を使いすぎて疲れ果て、朝、起きられなくて、約束の時間に遅刻してしまう、という悪循環のなかでもがく「うつ病」だとも言えます。

「非定型うつ病」の治療は、通常のうつ病と同様に抗うつ薬による薬物治療が中心です。「非定型うつ病」は症状が典型的ではないとはいうものの、全体のうつ病の中では決して少数派ではなく、全体の3割程度を占めると言われています。



田中実(たなか・みのる)
六角田中医院院長。1974京都府立医大卒、1981年同大学院修了後、1998年に六角田中医院を開業。2011年より2015年まで世界中医薬学会聯合会男科専業委員会常任理事を務めた。1982年より2015年まで神戸中医学研究会所属、伊藤良・森雄材両師に師事し東洋医学の研究啓蒙に携わる。2010年より円通塾を開講。『究極の医療は円通毉療: 医療・宗教・生き方を一円融合 』の著者。
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 新型うつへの現代医学的アプローチは元より大切であるが、最重要なのは自我の他に真我というもう一人の自分が存在することに氣づくことである。自我は地上生活で形成された心と体であるが、真我は天から来た霊(れい)であり“玉(たま)し霊(ひ)”であり人とは霊止(ひと)なのである。

人の本質は霊であり体は霊の衣である。霊は小宇宙であり小神仏であり、学びと成長と幸福のために地上での自我の人生をプログラムしている存在で、霊の観点からは人生の出来事はすべてうまくいっておりLet it beであることがわかってくる。

すると、うつを含めたすべての病を受け容れ学びと成長と幸福の糧とすることができるようになる。自我と真我をつなぎ天と地をつなぐことを意味する巫を土台とするのが毉(い)療(りょう)で、これが医療の本質であり原点である。

方法論の詳細は省くが、今後は心包・三焦を含めた六臓六腑・言霊(ことだま)・音(おと)霊(だま)・形(かた)霊(だま)を駆使して真我と共に歩む新たな毉(い)療(りょう)が望まれる。



天目石一也(あまめいし・かずや)
鹿児島県生まれ。建設省、本州四国連絡橋公団勤務を経て社団法人日本道路協会専務理事。その他、内閣府男女共同参画推進連携会議委員等、各種団体の理事、評議員を歴任。『残りを生きる: 難儀な人生を楽しく過ごす 』の著者。
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 漢字の「うつ」は複雑な字体で書きにくい、それだけ内容も複雑で微妙ということでしょうか。辞書には「うつ」のことを「心がはればれしないこと」・「―を散ずる」とある。これに対応する日本語も多様で、まず浮かんでくるのは不平・不満・不信・不安等であるが共通する意味は、うまくいかない、満足できない、心配ごとが多く先々が不安になるなど精神的不愉快につながる意味の言葉だ。

やはりこのような状態になることが心の健康に影響を与える要因と思われる。社会生活の中で納得できないことは日常茶飯だ。そして、身近な問題を含めて決断を要する時に判断材料が多すぎるがゆえに適切な判断に迷いが生じることもあるだろう。これは誰でも経験していることであり、考えすぎると心の迷走につながり不安を増長することにもなり得る。

不安を和らげるためには、決めたことは一旦前へ進める気楽さ、間違いは直す心のゆとり、過去を振り向かない習性が必要だ。過去を振り向くと反省を超えて不安につながることが多いが、日々の生活で心の健康は改善できることもあるので、心の健康が肉体の全ての機能健全につながっていることを自覚し、日々の生活で自信をつけることが大切だ。

「うつ」は医療機関で治療を受けることがもっとも大切だが、知識の涵養と日々の過ごし方に対する自信をつけることが未来へ生き続けるために必要な心がけである。
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