第二章
西欧哲学をきっかけに、日本の民族性を探る
配山實(作家)
奄美大島に残る巫女文化をキーワードとし、独自に古事記の研究を続けている配山實さん(作家)。
日本のルーツを未来につなぐ使命感に燃え、書き続けている。
その思いに至るには、戦後の読書体験が大きな影響を与えたという。ころの原風景を詩として描写しつづけている深津朝雄さん(栃木県現代詩人会・会員)は、国語教育のパイオニア・大村はま氏から影響を受けたという。
敗戦後の日本では、西欧文化が光り輝いて見えていました。
国内で起きるさまざまな変化が「猿真似文化」と揶揄されていたこともあり、「日本に学ぶべきものはない」と思っていたのですが、マルティン・ハイデッガーの『存在と時間』を読んだことで考えが一変しました。
【マルティン・ハイデッガーについて】
ドイツ生まれの哲学者。
「存在」そのものを分析した死生観は、のちの思想家や学者たちにも多大な影響を与えたといわれている。
言い回しが難解なため、ハードルの高い難書としても知られるが、現代人にも通じる普遍的な考え方を示した。
『存在と時間〈上〉・〈下〉』 ちくま学芸文庫、『形而上学入門』 平凡社ライブラリーなど著書多数あり。