第二章
家父長制のなごりは現代のいじめに影響しているのか?
桜井善作(月間小新聞『野火』代表)
世の中の不合理や権力に抗議する市民運動の先頭に立ってきた桜井善作さん(月間小新聞『野火』代表)も、格差社会について危惧の念を抱いている。
日本において家父長制のなごりは根強く残っています。
トップダウンの命令的な価値観は今も肌感覚としてあり、学校や会社でそれを感じたことがある人も多いでしょう。
過去をたどると、とくに戦中~戦後は父親である、男である、長である、たったそれだけで暴力的支配が教育の手段とされてきました。
そのような意識は、高度経済成長期を過ぎてもなくなることはなく、形を変えながら現代にも存在していると考えています。
その結果、学歴競争が当たり前な格差社会になり、個人から大衆への無差別的な暴力・殺人事件が増えたのだと思います。
どうにもならない「認められたい」という思いが自暴自棄となって表れたものでしょう。
子供のころから比較して評価する風土がある社会では、自分が優れていると感じられる人は少なく、他者から「認められている」と認識しづらい。
このような社会の窮屈さは、学校内でのいじめだけでなく、性差や上下関係などからくるセクハラやパワハラを引き起こす要因のひとつではないだろうか。
そこで、だれもが人らしく呼吸をするために、主体的な生き方が重要であると桜井さんはいう。
「人は人、我は我なり、我が往く道を我は往くなり」。
私は、この言葉が人生を豊かにすると信じ、一人ひとりの誇りが社会に花を咲かせ、いつかは美しい森になるなることを願っています。