2020.12.25 17:00 更新
どうして勉強しなくちゃいけないの?
勉強しない子どもに伝えたい「知る」楽しさと必要性

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新型コロナウイルス感染症の影響で小・中・高等学校が休校となり、子どもたちは家庭での時間をどう過ごすかが問題となりました。

自分ではなかなか学習の時間が立てられず、遊んでばかりの子どもについ「勉強しなさい!」と叱りたくなっていませんか?

多くの子どもが勉強を嫌がる理由は、勉強=やらされるものだと思っているためです。大好きな遊びや、熱を入れている部活動。楽しいことがたくさんあって、勉強はそれを邪魔する時間、面倒なものだと感じている子どもは多いのです。

目の前の宿題が、今後の人生でどう役に立つのかがわからない。そんなものを放って、友だちとの時間も大切にしたい……と、子どもたちも悩んでいます。

やらされているという意識があると、苦手意識は取れません。義務教育は9年、高校が3年、大学は4年。「なぜ勉強しなくてはいけないのか」というテーマが自分のなかで飲み込めないまま、進学してしまう人もいるようです。

子どもに勉強して欲しい親心は、いつの時代も課題となります。「勉強しなくてはいけない理由」、子どもたちが納得のいくように説明できますか?

勉強が大好きだった人も、実は苦手だった人も、どうしたら子どもたちが勉強してくれるようになるか、あらためて考えてみましょう。

子どもに伝えるための「勉強する理由」を考える

なぜ、勉強をしなければいけないのでしょうか。勉強は人間として必要な力を身につけることですが、さまざまな使い道があります。そのため「勉強しなくてはいけない理由」は、人によって違うのではないでしょうか。

知らないことを学んでいくと知識が身につくだけでなく、同じような問題に当たったとき、自分で解決する力がつきます。またたくさんの知識や考え方に触れることで視野が広がり、そこから自分の考えが身につくのです。

専門的な知識や学力をつけることは、行きたい学校やなりたい職業など、目標を叶える手段にもなります。学校でたくさんの科目を勉強するのは、将来に向けてさまざまな分野を見ていくためです。「数学は苦手だけれど、国語は楽しくて好き」「就きたい職業があるから、この分野を研究したい」というように、勉強を進めていくことで見えていきます。


子どもに勉強してほしいという理想は、自身の経験にもとづいているはずです。自分の考える勉強すべき理由を、自身の経験と共に子どもたちに話してみませんか?受験や就職などに関する成功体験もいいですし、学生時代に勉強が苦手で苦労したことも、素直に話せば共感してもらえるはずです。

理由もなく押しつけるのでなく、まずは自分の言葉で学ぶ大切さを伝えてみましょう。



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学習習慣を身につけるための目標設定

勉強をしてほしい理由として「将来に知識を役立ててほしい」「結果を出してほしい」と考える人も多いでしょう。

しかし子どもたちは、大人のような社会での経験がないため、その意味や重要性を考えるのが難しいのです。遊びを楽しみたい中で「勉強しなさい」と強く言えば、勉強から遠ざかってしまいます。

まだ具体的な目標ができていない場合は、目の前の宿題やテストに向かって、わからない問題を一緒に解決していくなど、小さな成功体験を積んでいく方法もあります。また、家庭学習時間の基本は「学年×10+10分」が目安と言われます。

小学3年生の場合:3×10+10分で40分
中学1年生の場合:7×10+10分で80分

家庭学習のポイント
◯「必ずこれだけはやる」というものを決める(つめこみすぎない)
◯質問できる環境をつくる(気づきが見つかり、苦手が克服できる)
◯点数ではなく、本人ができるようになったことを褒める

最終的に、子どものペースで時間を管理できることが理想です。家庭学習を通じ、時間管理や努力ができる力を育てられます。


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勉強嫌いの子に「知る楽しさ」を伝えるには?

しかし「やはり勉強には堅苦しいイメージがあって、好きになれない」「どうしても勉強以外のことがやりたい」と言われる場合もあるかもしれません。

本来勉強とは、新しいことを学んで知識をつけ、発見や喜びを生むためのもの。楽しさが伝わらなければ、勉強する習慣は身につきません。


また広い世界を見るため、たくさんの経験が必要です。子どもが楽しいと思うことを理解し、ときには遊びも大切にしてあげましょう。子どもの好奇心がどう育つかは、両親の影響も大きいです。教科書以上の知識に触れ、好奇心を刺激し、知る楽しさを知ってもらうことが大切になります。

小さいころから本に触れることで、知的好奇心が養われます。図書館や書店などに足を運び、関心のあるジャンルに触れることが有効です。自然や生きものが好きであれば、図鑑を持って外に出ることで知識が身につき、本への抵抗がなくなるでしょう。

また「本物を見る」という体験は刺激的で、外で遊ぶことが大好きな子どもにも楽しいものです。博物館などに足を運び、展示をみたりワークショップに参加することでも、より関心や理解が深まります。

幼い子どもの前には、選択肢がたくさんあります。子どもの興味のあることを話しあうなかで、学ぶべきことや目標が見えてくるはず。好奇心を尊重し、自分で選択していく力を身につけることが大切です。勉強という堅い考えは一度置いて、知らないことを知る喜びと、関心のある知識を身につけてみましょう。



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この記事のまとめ 

✔︎ 知識を深めたい、将来の役に立てたいなど、勉強する目的はさまざま

✔︎ 自分なりの言葉で、勉強の必要性を伝えてみよう

✔︎ 家庭学習は目標や時間を決め、自分で管理ができることを目標にしよう

✔︎ 知的好奇心を育てるため、子どもの好きなもの・好奇心を大切にしよう

(執筆:林幸奈)


今回のコメンテーターからのご意見】

・河村 尚登(かわむら・なおと)

 『次世代カメラのデジタル画像処理: カラー画像処理アルゴリズムと応用』 の著者。

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しかし、いくら親が真剣になっても子どもがついてこなければ「やらされ感」で負の作用となり、逆に勉強嫌いになってしまいます。幼少期でのやる気を出させる方法は「ご褒美」と「べた褒め」です。ある目標を達成したら、ご褒美として好きなお菓子や飲み物を与え、良くできたところを「べた褒め」してやります。無邪気で単純な子どもは「やる気」が起こり、毎日机に向かうことが楽しくなります。

しかし、エサで釣る方法は長くは続きません。小学校高学年ともなると自我が芽生え、興味の対象も増え、将来の夢を持ち、競争心も芽生えます。勉強嫌いの子どもに「偉くなるために勉強しなさい」とか、「いい生活をするために勉強しなさい」とかは、有名人の不祥事もあり説得力に欠けますし、逆に反発を買ってしまいます。「偉くなって何がいいの」と逆に問われ、哲学問答に陥り、子どもに納得させる説明は平凡な親ではとても出来ません。

そこで、効果的なのは、競争心を煽る環境を与えることです。たとえば、塾や学校で成績順位を発表し、成績順の席替えをすることなど、家庭においては社会の勝ち組の栄光と負け組の悲惨な生活をとくと教えることです。従順な子どもは、ライバルには負けじと努力し、勝つと優越感に浸り、正のスパイラルが起こります。

しかしながら、度が過ぎますと他人を蹴落としてでも勝ち残ろうとするなど歪んだ性格の人間となってしまうかもしれません。私は大学で教鞭に立ち、これまで多くの学生を見てきましたが、受験競争に勝ち抜いてきた学生ほど、応用が利かない、あるいは社会への適応力に欠ける者が多いと感じることがありました。教育方針が思考力を重視するようになってきたとはいえ、依然として知識の詰込みが多く、成績イコール記憶力となっています。このような知識は、今では必要な時にGoogleで検索すれば容易に得られますし、なんら得意となれるものではありません。大事なことは、知識の背景にある考え方や方法論を会得しているかどうかではないでしょうか。いうなれば新たな課題への取り組み方、応用問題への対処法です。

そこで話の振出しに戻りますが、勉強嫌いの子どもに勉強させたとして、ある程度の結果をだすことは期待できるかもしれません。しかし、人生の応用問題で挫折せず対処できるように教育するのは、至難の業です。両親にとっては永遠の課題ではないでしょうか。