2021.6.11 17:00

夜間や休日に「コンビニ受診」の問題点とは? 医師の過重労働を助ける、適切な医療を考えよう


夜間や休日に「コンビニ受診」の問題点とは? 医師の過重労働を助ける、適切な医療を考えよう

 

みなさんは、コンビニ受診という言葉を知っていますか?コンビニ受診とは、一般的に外来診療をしていない休日や夜間に、緊急性のない軽症者が気軽に病院を受診することです。忙しい平日の受診より便利だからと、利用する人が増えています。

また緊急出動も増加傾向にあり、平成30年の救急出動件数は、660万8,341件でした。救急自動車による搬送人員は596万295人でしたが、そのうち48.8%が軽症者だったとわかっています。
<参考:総務省消防庁/令和元年版 救急救助の現況>

急な体調不良やケガにより、「どう対処したらいいのかわからない」という思いから、救急車を呼ぶ人が多いようです。本来時間外の診療や緊急出動は、急病や大ケガやを受診するためのものです。気軽に利用すると、大病の人が後回しにされることや、医師の過重労働につながってしまいます。本当に必要な人たちに医療を届けるため、私たちにできることを考えましょう。



短時間でしっかり診てもらうために必要な存在


医師の過重労働は、近年問題となっています。平成29年の調査によると、常勤勤務医のうち、勤務時間(診療外も含む)が週60時間以上は男性で27.7%。 女性は17.3%。特に20代など、若い世代への負担が大きくなっています。
<参考:厚生労働省医政局/医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査 平成29年4月6日>

多忙な環境は、医師が心身の健康状態が管理できなくなり、誤診やさらなる医師の不足につながると考えられます。「短時間でしっかりと診てもらう」環境が整えば、医師の労働時間も縮小し、少ない待ち時間で多くの人に適切な医療が届きます。そのためには、かかりつけ医の存在が重要です。

<かかりつけ医のメリット>
◯自分の体調や病歴を理解している
◯短時間で適切な診察をしてもらえる
◯健康についての不安を相談できる
◯専門医を紹介してもらえる
◯地域に密着している

理想的な診察は、平日の日中に、かかりつけ医にかかること。それが難しいために、夜間や休日の診療が増えているのです。適切な医療が勤務時間でも安心して受けられるよう、企業も意識をして受診しやすい雰囲気や仕組みをつくっていく必要があります。日ごろから健康に気をつけながら、医師の労働状況を考え感謝の気持ちを忘れずに、医療機関を適切に使うようにしていきましょう。



休日や夜間の急病。どこに相談する?


それでも休日や夜間に体調が悪くなった、あるいはケガをしたときは「救急車を呼ぶべきか」「病院に行った方がいいのかな……」と不安になりますよね。そんなとき、電話やアプリを使って相談できる場所があります。

救急安心センター事業(#7119)は、「#7119」に電話をかけることで、「病院に行った方がいいか」「救急車を呼ぶべきか」を医師や専門家に症状を相談できます。「#7119」は現在は限られた地域で行われており、全国普及を進めています。
<参考:総務省消防庁/救急安心センター事業(#7119)ってナニ?>

全国版救急受診アプリ(愛称・Q助)は、該当する症状を選択していくと、緊急度に応じた対応が表示されます。必要な医療機関や受診方法も調べられます。
<参考:総務省消防庁/全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」)>

また小さな子どもの急な体調の変化は、保護者を不安にさせるものです。子ども医療電話相談事業(#8000)は、休日や夜間の子どもの体調やケガについて、どう対処すべきか小児科医師・看護師に相談できる窓口です。こちらは全国で実施されています。
<参考:厚生労働省/子ども医療電話相談事業(♯8000)について>

急な体調の変化やケガには、適切な判断が難しいものです。しかし救急車を呼んだり、夜間や休日の病院に駆け込む前に、相談できる場所があることを思い出してください。

執筆:林 幸奈



この記事のまとめ
  • コンビニ受診とは、休日や夜間に軽症患者が受診すること
  • 平成30年、救急自動車による搬送者のうち、48.8%が軽症者だった
  • 平日の日中に、かかりつけ医を受診するのが理想
  • コンプレックスの原因は誰かと比べたり、なにかを言われたりすること
  • 夜間や休日は相談事業を利用しよう



今回のコメンテーターからのご意見

秋元直人(あきもと・なおと)

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日本で生活していると、空気や水は無料だと思いがちですが、綺麗な空気や水を確保するために人類がどれだけの犠牲を払ってきたか考えていただきたいです。

日本は国民の保険や救急利用が無料という、世界的に見ても魅力ある制度を保証しています。私は#7119の相談センターで担当看護師たちのアドバイスを時々行っていますが、ここのスタッフたちは、文字通り24時間365日の体制です。急な体調不良や心の不安を訴える方々に心を込めて対応しております。さまざまな対応の中で、目頭が熱くなるような想いを感じることもあります。

目につきにくいセーフティーネットというのは、一度壊れはじめたら立て直しが困難です。この記事の「コンビニ受診」という言葉に加えて、「モンスターペイシェント」(医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す患者のこと。)という言葉も知って頂けたらと願っております。
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