2021.06.8 15:00 更新
「今の仕事で大丈夫?」コロナ転職を考える前に
不安を整理して伝え、自分にできることを見つけよう

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新型コロナウイルスの感染拡大により、人びとの行動は制限された。世界的に経済的影響が出ており、金銭的な不安が出ている人も多い。

家計調査(二人以上の世帯)によると、2020年4月の消費支出は前年と比べて11.1%の減少が見られた。前月と比べても、6.2%減少している。
<参考:総務省/家計調査報告>

自粛を迫られた飲食店や個人経営の店舗が、次々閉店に追い込まれるニュースも耳にする。6月5日現在、雇用調整の可能性がある事業所数は35,482事業所、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数は 20,933人となっている
<参考:厚生労働省/新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(6月5日現在集計分) >


経済的不安が大きく、先の見えない中、「自分の仕事は大丈夫だろうか」と考えている人も多い。職を失う「コロナリストラ」が問題視され、新たな職探しが難しいと予想される一方で、現在の仕事を手放す「コロナ退職」の需要も増えているという。

明確に変えたいポイントがある人も、漠然とした不安があるまま仕事を続けている人も、今考えたいことはなんだろうか。

コロナ転職を考える背景にあるものは?

感染予防のため、人と人との接触を減らすことが求められた。とくに満員電車は、密閉空間で人が密集する。電車は混雑が緩和し、時間差通勤・在宅勤務を導入した企業も多い印象だ。

しかし職種によって在宅勤務が不可能だったり、対面でのコミュニケーションを大切にしている企業もあり、そんな中で「どうしてこの会社は、非常時に対応してくれないのだろう」と不満をもつ人もいる。

また在宅勤務を急に導入した企業では、設備や仕組みを整えるのが間に合わなかったケースもある。コミュニケーションについても、チャットやメール・オンライン会議に方法が変わり、相手の表情や気持ちが読み取りにくくなった。「プライベートと仕事の切り替えが難しい」「かえって残業が増えた」という声もあり、慣れない環境での仕事に、ストレスを感じる人も多い。

その中で、経済が悪化しているニュースを目にし、さらに不安が広がっている。社内にいることで理解していた、他部署とのつながりや企業全体の現状も見えない状況で「自分の会社は大丈夫なんだろうか?」と考えてしまう。

こうした人びとのモヤモヤが、「コロナ転職」に繋がっている。しかし現在は人手不足から、仕事がない状況に変わっている。気軽に退職をする前に、見直すことはないだろうか。


働き方や会社への不安はどう対処する?

まずは、自分にとってなにが不安か、今なにができるかを書き出して明確にしよう。現在仕事に不安を抱いている人は、さまざまなパターンがあるだろう。

◯ 今までと異なる環境で、仕事を進めることへの不安
◯ 危機管理や経営など、会社への不安
◯ 職を失ったらどうしようという、自分への不安

不安が明確になったら、解決したい優先順位をつけるとわかりやすい。
「以前はいつも上司が隣にいたが、今はわからないことを質問しにくい」などの場合は、相手と今まで通りの関係でいられるよう、コミュニケーションを続ける必要がある。在宅勤務は、仕事において態度より結果が見える環境だ。自分の役割を考えモチベーションを維持するためにも、会社や他者とのつながりを意識しよう。

仕事の成果・現状を報告する、わからないことは相談する、というタイミングを決めるとやりやすい。スムーズな業務のため、エラーや緊急案件は素早い対応を優先し、隠さずに報告しよう。

さらにコミュニケーションによって信頼を築き、危機管理や勤務形態への希望、経営はどうなっているのかなど、自分だけではどうにもできない部分を上司に相談・依頼できる環境が理想だ。

非常時に限らず、働き方や会社への心配が出てくることは、今後もあるかもしれない。そんな時こそ周りに相談し、コミュニケーションや信頼を大切にしながら、自分にできることを考えて仕事を進めよう。


それでも転職したい人が見直すことは?

「経営や働き方の相談をしたけれど、返答がいまいちだった。もう転職するしかない」
と考える人もいるだろう。「会社の将来に不安を感じたから」と転職する人は多く、平成27年の調査では、転職者全体の24.2%に及ぶとわかった。
<参考:厚生労働省/平成27年転職者実態調査の概況 離職理由>

どうしても転職したい場合、次に頭に浮かぶのは「仕事がなくなったあと、どうしよう」「自分のスキルで大丈夫か」という自分への不安だ。不安があるうちはすぐに行動せず、自分にできることや将来どうなりたいかについて考えてみよう

また今後の転職活動は、スキル重視になっていくとされる。「特別なスキルはない」と思っている人もいるかもしれないが、仕事で使ってきたコミュニケーションや一般常識は、どんな職場でも必要なスキルとなる。今の自分にできること・得意なことを意識してみよう。

自粛ムードが続き、外出が減っているこの時期に、オンライン講座などを利用して、将来を見据えてスキルを身につけるのも有効だ。転職活動のために資格取得を目指して勉強する人も多いが、取得した資格の数や地名度で安心をするのは危険かもしれない。必要なスキルや資格は、職種ややりたいことによって違う。自分に本当に必要な知識は何かを考え、専門性を高めていこう。

非常時や環境が変わった時は、不安で頭がいっぱいになる。そんな時こそ自分の気持ちや環境を見つめ、今できることや必要なものはなにかを考えよう

この記事のまとめ 

✔︎ コロナ禍の経済影響により、自身の将来や勤めている企業に不安を抱く人が増えた

✔︎ 働き方の変化により、新たなストレスが生まれた

✔︎ 周りと相談しながら、自分にできることを考えて仕事を進めよう

✔︎ 転職・スキルアップについても、自分を見つめて今できることや必要なものを考えよう

(執筆:林幸奈)

今回のコメンテーターからのご意見
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資源が有限であることに気づき、環境は破壊尽くされて、これまでのような右肩上がりの上昇経済が行き止まるのを目の間で実感すれば、資本主義経済がこれ以上続くはずもない。その上に新型コロナウイルスが蔓延して、「3密」禁止令が出れば社会は閉塞感に閉ざされてしまった。このような危機的状況の中に突然置かれて、あなたは戸惑っていることだろう。

こんな時には、あなたは自分には何ができるのだろう、少なくとも体力と気力はある、そして世間は自分に何を期待しているのか、を考えてみよう。その上で「3密」を避けるには大自然の中での活躍の場所で、何をすれば世間は自分を受け入れてくれるだろうかを考えれば、あなたの目の前には必然的に新しい農業への取り組みが広がって来るのではないか。SDGsの国連決議に基づいて、Carbon Neutral 社会の構築が喫緊の課題である。

森林資源がCO₂を吸収して成長する速度は50年単位であるが、イネやムギがCO₂を固定して成長するのは半年単位の速い速度で確実に進む。古い型の資本主義経済は「社会的連帯経済」へと移り変わろうとしている。あなたは仲間を集めて「小さな会社」を組織して新型農業を起こし、経済と環境を改革する使命を帯びて挑戦するのだ。


吉田いち子(よしだ・いちこ)
吉田事務所代表。2012年にNPO法人「としまの記憶」をつなぐ会を立ち上げ、語り部の大正、昭和の記憶を取材し動画で保存する活動をしている。『地震ナマズはどこにいる?:ナマズの太郎と海の冒険(22世紀アート)』『マダム・ケイ 他8編【電子書籍版】(22世紀アート)』の著者。


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2020年、新型コロナウイルスの突然の出現と感染拡大。日本だけでなく世界中、殆どの人々が自分の人生で起こるとは想像していなかった日々だろう。ウイルスの怖さとその実態を知らず「いつかなくなるのでしょ?」という甘い考えは見事に裏切られ、見えない敵はビジネス上でもいきなりジャブを打ちこみ、業種を問わずノックダウンさせた。

確実に「今までの事」「これまでの事」が通用しない時代に突入した。昔、自分がどのような組織にいたか?どんな業務や作業をしてきたか?会社内で人気者だった、企画書は次から次へと当たり、売上アップに貢献した成功話など。人間誰しも頭の片隅においている諸々体験。しかしこれらに未練をのこすとそのまま自分も過去の遺物となってしまう。

例えば退職後「元・・・」と〝企業の名前〟にすがりついた名刺を振りかざしても人は「ほほーっ」と反応した。また最低でも100枚の名刺をもって参加する「異業種交流会」全盛時代も終焉した。組織に属しているだけで安泰な時代は確実に薄れていく。これから求められるのは特異な「個」の力を発揮できるか?いなか??1+1=2ブラスαの〝α〟を生み出せるか?そんな「個」として新しい価値創出が出来るかの実力である。



大井 俊一(おおい・しゅんいち)
農学博士(九州大学)。化学系製造企業にて、研究開発、学術面での営業支援に従事。現在、社員研修講師、講演活動を行っている。『リーダーシップ: 組織を支えるリーダーへのメソッド (22世紀アート)』『「超二流」への進化で仕事が変わる 組織が変わる:個人と組織を活かす新しい生き方(22世紀アート)』『こころで勝つリーダーシップ(22世紀アート)』の著者。

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第四次産業革命と新型コロナ禍で企業環境が激変し、経営のリーダーシップは分極化傾向を強めている。ワンマン独裁化であり、優柔不断化である。物言うミドルは後退し、企業業績が低迷する中で、トップダウンとボトムアップが交差し合う健全な組織運営がスポイルされている。ここにビジネスパーソンの生き残りへの不安と、意識してきたアイデンティティーの危機がある。この状況を克服するために、次の二つの視点を考えてみよう。

①相棒を持とう:率直に語り合えるペアーを意識し、徹底して話し合い協働する。そこからネットワークが拡がり現状打開の連帯を構築する。②思考・行動の指針を持とう:創造的発想を現実の変革に活かす指針として「収束と発散をくり返す思考回路」を持つ。その中に小スパンのPDCAサイクル、激しいトライアンドエラーを組み込む。また困難な課題解決に当たっては「二項対立・二律背反を融合・統合・両立の視点で考える」を指針として立ち向かう。この中で「ひらめき・飛躍」と「論理思考」をまさに融合・統合して考える。

この二つの視点を現場に適応し、やり抜くことで、現状打開策は見えてくる。自分の中でも何かが変わってくる。挑戦課題で頭は一杯になり、不安感は薄れていく。周囲からの反応も違ってきて景色が変わる。そこに自分らしさを感じ、自信も芽生えてくる。



臼杵 昌美(うすき まさみ)
経営コンサルティング。現在、P7 Management Consultingとして「哲学・理念」と「ソロバン」が調和する企業つくりをコンセプトにコンサルティング、講演、研修を行う。中小企業の経営戦略、マーケティング戦略、組織活性化の仕組みつくりなど経営者の参謀役として活動するなか、リーダー育成のための「開陽塾」を開催している。中小企業庁中小企業小規模事業者ワンストップ総合支援事業派遣専門家。広島県小規模事業者等支援委託事業指導専門家。『改訂 ビジネスリーダーのための『闘戦経』日本最古の兵書が導く経営の原理原則』の著者。

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事業とは「環境適応業」です。経営環境が変れば事業構造等々を変化させ、適応していくことが原則です。そこに働く者に対しても必然的に変化が求められることになります。変化への適応には必ず摩擦・葛藤が生まれます。今回コロナでの働き方等々の変化での生じるストレス等々は避けて通ることのできないものです。受け入れる方向で慣れていく、むしろ変化への対応を工夫し楽しんでいくことです。その変化が受入れ難いのであれば転職を考えることも必要でしょう。

上記以外の理由、給与が安い、働き甲斐がない、キャリアが伸ばせない等々のものは、コロナに始まったものではありません。以前から潜在していた問題が顕在化したに過ぎません。その問題の解決を真剣に考えることをコロナに迫られたということです。

既にコロナ前からその解決の方向性が明らかで踏ん切りがつかない状態だったのであれば、コロナを期に踏ん切りをつければいいでしょう。しかしながら、何が問題なのか、解決の方向性も定かでないのであれば時期尚早です。本文で紹介されているように、それらを一、度きちんと問い、自分自身に向き合ういい機会です。この問いに正面から対峙することは、自分らしいビジネスライフの指針になるでしょう。
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