2021.6.7 12:00

後悔しない大学選択はなにで決まる?
偏差値や就職率はひとつの基準と考える



ガイドラインを超える、やりすぎなブラック部活動とは

(執筆:SOCIO編集部 林幸奈)

現在大学選びを考えている人は、大学にどんなイメージを抱いているでしょうか? 好きなことを自由に学べて、仲間と過ごすキャンパスライフには、憧れがもてます。しかしすでに大学を卒業した人や、現役の大学生は「そんなに輝かしいものではないよ」と思うかもしれません。

2019年度、大学(学部)進学率は53.7%(速報値)でした。
<参考:文部科学省/令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について>

大学は、4年間という長い期間を専門的な学び・研究に費やす場所。「この勉強がしたい」と大学を決める人がいる一方で、「周りの人が大学に行くから」と、なんとなく進路を決める人も多いようです。

実は思い通りに学べず、後悔している人もいます。入学後に「なんだか違う……」と落胆しないよう、慎重に選びたいものですよね。「偏差値が高い大学に行けば、大企業に就職できる」「理系の方が、就職率が高そう」「現代文のテストは出来がよかったから、文学部に行こうかな」このイメージは、正しいのか危険なのか。

大学生活を楽しみ、自分の専門分野を広げるための大学探しを考えます。


細かくわかれた学部・学科。どう選ぶ?

大学には分野ごとに学部があり、その中でも学科やコースが細かくわかれています。 学部・学科選択は、大学選びにおいて重要なポイントです。

たとえば文学部と聞くと、漠然と本をたくさん読むイメージがあるかもしれません。しかし文章の背景には、紡がれる言葉や言語、そこにある人の思想・歴史があります。こうしたものを研究するのが文学部であり、そのため国文学科のようにイメージしやすいものから、哲学科・史学科・心理学科など、一見関係なさそうな学科が設置されている大学もあるのです。

また学部・学科の意味合いは、大学によって大きく異なります。おなじ英文学科でも「作品の内容を考察する」「英語で作品を読む」「言語を研究する」などのケースが考えられます。複数の大学を見る以外にも、似たような学部・学科を視野に入れることがおすすめです。

事前に調べられる場合は、学習内容についても細かく見ておいた方がよいでしょう。大学は学校ごとに、必修科目やカリキュラムが異なります。そのため「文系なのに、必修分野に苦手な数学があった」というケースもあるようです。取得できる資格で大学を見る場合も、より自分の活かしたい分野で学べる環境を選ぶことで、将来についても考えやすくなります。

学部・学科をイメージで決めず、しっかり内容を見て行くことで、より楽しくしっかり学べる大学が決まります。



偏差値や就職率は気にした方がいい?

大学選びには、自分にあった学びのできる場所が理想です。それでもやはり、偏差値の高い大学には憧れるし、行きたい学科の就職率が低いことは気になる。そんな人もいるでしょう。

偏差値や就職率は、大学を見るひとつの基準です。「大企業に勤めたいから、就職支援の手厚い大学がいい」「偏差値の高い大学で実力を試したい」という人には目標になりますが、捉われすぎる必要はありません。また近年、新設の学校や地方でも、就職サポートの充実した大学が増えています。

大学に行く・学ぶ上で大切なのは、「学んだことをどう活かせるか」をイメージすることです。専門にあった職種を探すだけでなく、進学した大学・学部とは異なる分野で、仕事をする人はいます。それでも「演劇を学んでいたが、チームでなにかすることが好きだと気づいた」「文学を通じて、人の気持ちに寄り添う仕事がしたくなった」など、どこかで結びついているのです。

やりたいことがわからない、周りに大学生がいなくて情報がないという人は、ぜひオープンキャンパスなどを利用して、大学に行ってみてください。授業内容を見たい時は、ホームページも有効です。大学はどんなものかを知ることで、興味のある分野は見えてきます。まずは自分の大学で学びたい・やりたいことへのきっかけを見つけましょう。


この記事のまとめ 
  • 大学選びで後悔する人がいる
  • 学部や学科の意味合いは大学によって異なるため、複数の大学や類似した学科を見よう
  • 「学んだことをどう活かすか」が大切
  • 大学の雰囲気や授業内容を調べる、大学に足を運ぶ

 

今回のコメンテーターからのご意見
駒瀬友紀(こませ・とものり)
ランドスケープアーキテクト 元生物学講師。『そこに行けばふるさとがある:シンボルツリーと人と自然の物語(22世紀アート)』の著者。

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大学全入時代と言われて久しいが、近年の大学進学率は54%前後となっている。価値観が多様化して選択肢が多い今日の若者にとって、「大学進学」といった画一的思考は、すべてではないのかもしれない。今でも、たとえば看護師など、資格取得などの具体的な目的がある人々は、専門学校や大学どちらでも、自らのスキルを身につけるための学校を選択していることだろう。

しかし、逆に「せめて大学ぐらい」といった風潮を概念にもつ生徒たちにとって、大学の選択は、曖昧なものとなる可能性がある。最低限の理系か文系かなどの進路を心しておかなければ、入学後、後悔の念に苛まされることになるだろう。

筆者の場合、大学に進むなら理系と決めていた。学部選択の際には、自然が好きだったので農学部を選択した。その後、前期は漠然とした学校生活を送っていたが、一年生後期の必須授業で造園学を受講したことが、筆者の運命を変えたと言っても過言ではない。「やりがい・生きがい」など、眼を開かされた分野に遭遇し、今振り返ってみても本当に救われたと実感できる。大学選択した中で、心が求める講義に巡り合えることが幸せであり、後悔しないことに繋がるであろう。偶然であっても、必然であっても、そうなるような気持をキープする努力が必要かも知れない。

また、学ぶ内容というよりも偏差値や就職率の高い大学を希望する生徒にとって大学は、将来一流企業の就職に向けたステップとして考えられていることがある。筆者が学生時代にそういった考えはあまりなかったが、今では共感できる。そんな彼らの目標が達成できれば、学校の雰囲気に後悔する場面が多少あったとしても、ブレずに将来を描いてゆけるだろう。

いずれにせよ、短絡的な打算にこだわりすぎず、大学で学んだことをきっかけに、長い人生の中で何をどう活かしていくかといった目的意識を育んでいくことが大切だろう。それが入学した大学生活を後悔しない一考かもしれない。


中田康行(なかた・やすゆき)
同志社大学大学院修了(MA)、ロンドン大学大学院修了(Associate)。梅花女子大学、長崎大学助教授、三重大学教授を経て、現在芦屋大学教授。ケンブリッジ大学客員研究員(Hughes Hall)。『英語教師(志望者)に求められる教養・知識:英語教育関連諸分野への英語学的視点から(22世紀アート)』の著者。


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毎年、入試の時期になると、受験産業(とりわけ、予備校や塾)が某国立大、某有名私立大合格者の顔写真掲載入り広告で受講生を募集している。同時に提示される偏差値(や将来の就職率)などは現実的問題の避けがたい局面ではあるが、参考資料程度のものだ。この様な広告は某大学に入学することが目的だと考える社会風潮の裏返しに過ぎないからだ。

大学は、入学後、「モラトリアム」で適当に4年間を過ごす場所ではない。大学は、知的好奇心を増幅させ、自ら学び学識を深めるための場所である。そこで、肝心なことは受験者が内省を通して、一生これをやって行くのだという知的関心事を見極めることなのである。その際、この知的好奇心は漠然としたものではなく、具体的なものであるべきである。

例えば、「英語」に関心があると言ったところで、「英語」の「どの面」に関心があるのか分からない。そこで、もっと具体的に、「英語の歴史」、「英語と米語の差異」、「アングロ=サクソン人と英語」などという具合に、具体的なテーマに限定できれば(できるだけ)関心の度合いが深まり、関連領域も見えてくる。

さて、以上のように、決心ができれば、候補になる大学を三つくらいに絞り込み、そのホーページを確認する。最近は情報公開が進み、学部・学科、大学のアミニティ(施設など)が必ず紹介されている。学部・学科の先生方の経歴・業績なども公開されている。さらにオープン・キャンパスにも出かけるとよい。運よく、好みの先生の話も聞けようというものだ。以上、将来、有望な知的な学生が増えてくれることを心から願う。
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