2021.1.25 17:00
「フェミニズムって怖い」と思っていませんか? 気づいていない性差の問題、あなたも当事者かもしれない。
(執筆:林幸奈)
育児や働き方に関することから、ハイヒールや化粧の強要廃止まで、女性の目線から「社会を変えたい」と主張する人がいます。「フェミニズム」という言葉を、メディアで見かける機会も増えました。
現代社会においては、性別に関わらず平等に活躍することが求められます。しかし同時に身体・心理面での男女差や、出産や育児など、ライフステージによる悩みが存在するのです。その
性差を考慮しつつ、平等に能力が発揮できる社会を目指す活動が、フェミニズムなのです。しかしフェミニズムに対しては、こうしたイメージも聞かれます。
- なぜ最近になって、女性の権利ばかりが主張されるのか
- 女性が優位になったら、不平等な社会にならないか
- 「女性は控えめ」というイメージもあり、主張の激しい女性は怖い など
もともと周囲との調和を重んじる日本では、「強い主張は対立につながる」と考えている人も多いかもしれません。そもそもフェミニズムとはどんなものか、なぜ男女平等な社会に必要なのかを考えていきます。
フェミニズムは、女性だけのもの?
フェミニズムとは:
①女性の社会的、政治的、経済的権利を男性と同等にし、女性の能力や役割の発展を目ざす主張および運動。女権拡張論。女性解放論。 ②女性尊重主義。
<出典:デジタル大辞泉(小学館)>
フェミニズムにおいては、「個人的なことは政治的なこと」というスローガンが掲げられています。女性かそうでないかに関わらず、
「個人の意見を大切にして、社会を変えよう」という考え方です。
フェミニズムの根源は、18世紀末フランスの市民革命から、唱えられていたとされます。働き方や子育てをはじめとする、
女性の社会に対する主張は、長く存在した問題が浮き彫りになったものではないでしょうか。「女性の主張は、最近よく聞かれる」という印象があっても、急に増えたものではないのです。
男女差別は感じたことがない、自分は差別をしていない。「だからフェミニズムは必要ない」と考える人は、女性にもいます。しかし自分が知らないことと、差別が存在しないことは異なります。
たとえば「足を痛めながらハイヒールを履いて仕事をする人」など、身近なところで苦しんでいる、なにかを強要されている人はいるかもしれない。「今まで多くの女性(あるいは自分)が履いていたのだから、大したことはないのだろう」となんとなく思い込んでいたことで、
誰かが「辛い」と言いにくい環境ができていたかもしれないのです。
時折「女性が力をもった社会では、男性が不利になるのではないか」という意見を目にします。しかし主張を大きくするのと同時に、反対意見の範囲を広げすぎると、相手の主張が聞きにくくなります。
極端な主張になってしまう例
- たくさんの人を「男性」と「女性」でひとくくりにする
- 「女性(男性)が有利だ」と強要、相手を否定する
- 「男性が今の社会をつくったから」と、すべての男性を批判する
- 「化粧やハイヒールの強要はよくない」から、「化粧やハイヒールの着用をすべきではない」という主張に変わる など
フェミニズムは、
一方を尊重することで、反対意見を攻撃するものではないのです。平等な社会のためには、男女を問わず意識を共有し、お互いに尊重できる社会を考える必要があります。
性差からの解放。当事者は女性だけ?
フェミニズムは、男性が興味をもっていいのか。ジェンダー学に興味がある男性はめずらしい、と言われた。こうした意見がSNSで見かけ、女性の主張が男性に近寄りにくいものとなっている現状を感じました。
ジェンダーの問題に関心がある人は、女性やセクシャルマイノリティの人が多く、大学で講義を行っても男子学生が少ないという話を耳にします。女性の働き方を考えるセミナーが「女性限定」とされているなど、「当事者が学び、当事者がなんとかする」と考える人が多いように感じてしまいます。
フェミニズムは女性に優位なものではなく、今まで気づかなかった視点から、性別に捉われない社会を考えるものです。性差からの解放は、女性だけの問題ではなく、誰もが当事者です。「女性はこうあるべき」と言っている男性が、実は自身も
「男性はこうあるべき」という理想に苦しんでいるかもしれません。
お互いの生きづらさを共有しつつ、社会を見てみる。性別やフェミニズムという考え方でカテゴライズしすぎることなく、ともに「これからの私たちはどうあるべきか」を考える必要があるのです。相手の意見を聞き、お互いが平等になる方向を見つけていきましょう。
この記事のまとめ
- フェミニズムは「性差からの解放」と「平等な社会」を目指すもの
- 最近登場した主張ではなく、長く存在した問題が浮き彫りになったもの
- ひとつの主張は、反対意見を攻撃するものではない
- 性差の問題は、誰もが当事者
- ともに「これからの私たちはどうあるべきか」を考えよう
入谷 (水曜日, 10 2月 2021 18:30)
フェミニズムは自分たちから「男は絶滅しろ」系の過激派を駆逐しないかぎり、共産党と同レベルに見られるだろう。
・・・ (水曜日, 10 2月 2021 04:50)
現在進行形で森会長は責めるのに「なぜ男性はすぐ「長い会議」をしたがるのか?」と書いた北原みのりを全く責めないから信用ならないのですが。