2021.1.19 17:00

9ヶ月休校が続いた、カンボジアのオンライン授業。 先生や生徒同士のコミュニケーションはどうする?


子どもにスマホを使わせるのは心配?

(執筆:林幸奈)

 

新型コロナウイルスによる、生活の変化。大人も子どもも、いまだにとまどいながら、対応を続けている状況です。

子どもたちにとって大きな変化は、休校が続いたことではないでしょうか。「2月28日から春季休業終了まで」とされていた臨時休校が、緊急事態宣言に伴い5月末まで延長されました。

臨時休校にあたり、日本でも「オンライン授業」というワードも聞かれるようになりました。しかし公立の小中学校では、なかなか対応できていない現状もあるようです。

4月16日時点の調査によると、公立小中高・特別支援学校などの家庭学習指導について、デジタル教科書・教材を活用したのは29%。同時双方向型のオンライン指導を活用したのは5%でした。
<参考:文部科学省/新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について>

学習機会の減っている子どもたちが、心配な人も多いでしょう。新型コロナウイルスにより子どもたちが学校にいけない、学習の機会が減っていることは、世界中で課題になっています

人口1.630万人(2018年データ)の国・カンボジアでは、約9ヶ月も休校が続き、その後1週間で再び休校要請が出されてしまいました。カンボジアのオンライン授業、子どもたちの様子は、どんなものなのでしょうか?



シーセフリーダーズアカデミーとは?


シーセフリーダーズアカデミーは、カンボジアで質の高い教育を届ける、幼稚部・小学部・中学部一貫校です。カンボジア教育省の協力のもと、NGO(非政府組織)として認可を受けている公益財団法人CIESFが、授業料無償で運営。現在は、2歳児から小学1年生まで、各定員20名のクラスがあります。

持続可能な社会を創り出すため、教育省から定められたカンボジアのカリキュラムと、シーセフオリジナルのカリキュラムを通して、教育を与えるだけでなく次世代のリーダーを育てています。


シーセフリーダーズアカデミー
シーセフリーダーズアカデミー 活動の様子①


カリキュラムの特色
シーセフリーダーズアカデミーのホームページによると、当初3月16日から4月19日の予定であった臨時休校は、9ヶ月ほど続きました。しかし11月23日に学校が再開したものの、市中感染の広がりを受けて、再び12月2日から臨時休校を要請されます。ちなみにカンボジア国内における感染者数は、12月11日時点で357名(治癒者数307名)です。
<参考:外務省/安全ホームページ>

このような事態の変化に、先生も生徒も驚いているのではないでしょうか。子どもたちや授業の様子について、シーセフリーダーズアカデミーの土居学長にお話を伺いました。


シーセフリーダーズアカデミー
シーセフリーダーズアカデミー 活動の様子②


休校期間、子どもたちはどんな学習をしている?


<お話を伺ったのは>
土居清美さん。
シーセフリーダーズアカデミー学校長。

" 土居:シーセフリーダーズアカデミーでは、年長3クラスはZOOMを使って双方向の授業ができるようになりました。下の2クラスもおもにYouTubeで授業を配信し、メッセンジャーで解答してもらう授業をしています。"

用意されたプリントやドリルを使うものもあり、その日に勉強することは、毎朝Facebookのメッセンジャーグループで配信します。

1日の学習内容例(ブログを参考)
  • 100ます計算プリント
  • 日本語の「か」のつく言葉をノートに1ページ書く
  • 漢字ドリルを2ページ書く
  • 音読ドリルの「二度とない人生だから」を1回読み、かかった時間を記録
  • 日本語のカルタを読み、かかった時間を記録
  • YouTubeの日本昔話の「浦島太郎」を観る
  • YouTubeで「1本でもにんじん」の動画を観ながら歌う
  • 算数アプリThink Thinkをする

教材(保護者に来校してもらって配布)
  • 漢字ドリル
  • 100ます計算ドリル など

よく使用するツール
  • Facebook
  • メッセンジャー

シーセフリーダーズアカデミー
シーセフリーダーズアカデミー オンライン授業

 

日本でオンライン授業がなかなか普及しない背景には、公立の学校で指導に対応しきれないことや、各家庭にあるネット環境の格差が影響していました。学習のICT化を進めているシーセフリーダーズアカデミーから、オンライン授業も充実していると感じます。しかしカンボジアでは、ネット環境の不安定さ・デバイス保有率の低さに加え、電力の不安定さも課題となっているそうです

インターネットや機材を使用するオンライン授業は、トラブルに遭遇することもあります。学校とは違い、先生に相談できない場面もあるため、保護者のサポートは必要になるでしょう。土居学長によると、インターネット環境に加え、保護者からの協力やコミュニケーションも、今後の課題となっています


" 土居:コロナ前は、重要な報告や説明などをする際は、学校に集まっていただいていましたが、休校期間には禁じられました。表情や反応、その場の空気感でできる相互理解・コミュニケーション自体が取りづらい状況になり、簡単なことでも周知に時間と手間がかかります。100%の理解を得るにはなかなか至らない事案がたびたび起きました。

授業についても、メッセンジャーなどを使う際は、小さい子は保護者の協力が不可欠です。しかし共働きの家庭も多いため、課題は多いですね。"



 

9ヶ月ぶりの登校。子どもたちの関係に変化は?


オンライン授業が続いている状況を、子どもたちはどう感じているのでしょうか?

オンライン授業というと、配信されたものを受け取る一方通行なイメージがあります。9ヶ月もの間オンライン授業をしていく中で、先生と生徒、生徒同士のコミュニケーションへの変化が気になります

" 土居:11月23日から1週間、9ヶ月ぶりに学校での授業が再開しました。心配していましたが、子どもたちはあっという間に、もとの関係に戻りました。とくに、画面越しで会っている年長3クラスは問題なく。むしろ小さい子は、母親と離れる際に泣き出す子が多かったですね。"



シーセフリーダーズアカデミー
シーセフリーダーズアカデミー 活動の様子③(撮影は休校前)



シーセフリーダーズアカデミーのブログでは、共有画面で丸つけをする、一緒に工作をするなど、双方向で生徒と同じものを共有する時間がとられています。オンラインの画面上でみんなの顔を見ながら、子どもたちはオンライン授業を楽しんでいるようです

土屋学長が最も危惧しているのは、コロナが完全に収束するまで、教育がとぎれとぎれになってしまうこと

" 土居:カンボジアのコロナ対策・規制において、最も重視するひとつに「子どもへの感染を防ぐ」ことがあります。諸規制に優先して「学校閉鎖」を発令してきた路線は、今後も続くでしょう。

学校の諸行事も決められない、卒業・進学の時期さえも決めても変更が続く状況なので、学校運営全体も迷走している状況ですので、教育界全体が極めて不安定な状態なんですね。こういう根本的なことに危機感を抱きながら、日々を送っています。

授業や学校のあり方を問われ、それに対する解を、教育界に関わる全員で模索しているのが現状です。"

オンライン授業は、子どもの孤独をやわらげ、先生や友だちとつながれる場所にもなっています
。場所を選ばず、非常時でもいつも通りの学習ができるようになるため、教育のICT化やオンライン授業の普及は今後も役立つのでしょう。

11月23日から1週間、久しぶりに登校した子どもたちの様子は、とても楽しそうなものでした。背景には、今できることを考え、子どもたちに学びや楽しみを提供している先生方がいます。一刻もはやく自体が収束し、世界中の子どもたちが、これまで通りの生活に戻れることを願います。
コメント: 0
【編集部のおすすめ】