「外出の自粛が求められ、いつも遊んでいる公園にも行けない」「友だちに会えなくて、孤独を感じる」「育児への不安があるけれど、気軽に相談に行けない」
新型コロナウイルスの影響で、公園や児童館が一時的に閉鎖されました。地域のイベントも多くが中止になっていて、家ではできない遊びを求め、気分転換をすることが難しくなっています。
子どもだけでなく、親たちの交流や学びも失われています。親子の集まれる場所がなくなり、身近な地域で同世代の友だちをつくりにくい状況ができました。病院や児童館で行われる、
両親学級や母親教室なども中止になり、情報を得る場も減少しています。
楽しみや学び・交流がほしい、けれど感染対策や安全には気をつけたい。そんな思いに応えるため、
オンラインで遊びや学びを提供している場所があります。
遊びや学び、交流。感染対策で難しくなる現状
児童館は、児童福祉法第40条に規定される児童厚生施設のひとつ。
児童の健全な遊び場の確保・健康増進・情操を高めることが目的とされています。小さな子どもの遊び場というイメージもありますが、18歳未満の児童と、子育てをする親が対象です。
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事業内容の例
・遊びを通じての集団的・個別的指導
・母親クラブなど地域組織活動の育成・助長
・健康・体力の増進
・放課後児童の育成・指導
・年長児童(中・高校生世代)の育成・指導
・子育て家庭への相談 など
<参考:厚生労働省/児童館について>
遊びや情報を得られるだけでなく、
同世代の児童や、子育てをする母親同士、住んでいる地域がつながる場所でもあるのです。核家族化や、地域とのつながりが難しい現代に必要な施設となっています。
そんな児童館は、
新型コロナウイルスの影響を受け、臨時休館を実施しました。緊急事態宣言の解除を受けて、6月1日から再開していますが、
現在も感染対策のため営業時間の縮小やプログラムの変更、手洗いやマスク着用の呼びかけがされています。
しかしマスクを嫌がってしまう子どもは多く、熱中症などの危険性もあります。WHOは、「5歳以下の子どもは必ずしもマスク着用にこだわらなくてよい」という見解を出しました。マスク以外の方法でも、乳幼児は手洗いが難しく、消毒液で手が荒れてしまうこともあります。
このような環境では「子ども同士で、声をかけあって遊ぶ」「おもちゃを貸し借りする」「親や子ども同士で話す」といった交流が難しくなります。
環境の変化に戸惑い、以前のように遊びを楽しめない子どもも多いのではないでしょうか。
そんな今まで通りの遊び・学びができない親子のために、オンラインプログラムやイベントを開催している団体があります。
親子参加型のオンラインイベントはどんなもの?
合同会社bitsオンラインこどもグループは、子ども向けイベント・子育て支援・講座をオンラインで開催しています。
- 未就学児・保護者向けオンラインプログラム(手遊びやベビーマッサージなど)
- オンライン交流会
- 地域のママサークルへのオンライン出張
- 他講師によるコラボ講座
- 2ヶ月に1度オンラインイベント など
bitsオンラインこどもグループでは、季節のイベントを開催しています。これまで8月に夏祭り、10月にハロウィンパーティーがありました。
また12月13日(日)にオンラインイベント、「bitsオンラインクリスマスフェスティバル」が開催されました。
bitsオンラインこどもグループ 活動の様子①
イベント内容
参加型のオンラインイベントですが、ビデオオフで視聴のみの参加も可能です。以前開催されたイベントからクリスマスフェスティバルを知り、参加した親子も多いようです。
参加者の声
【イベントに参加しようと思ったきっかけ】
- 「1人で遊ぶのが苦手で、ママと遊びたがるのですが、友だちと楽しんでほしいと思って」
- 「インスタでイベントを知り、案内もいただいたため」
- 「コロナでイベントが減っているので、オンラインのイベントで盛り上がりたかった」
- 「bitsオンラインのイベントにはほとんど参加していて、子どもが参加したいと言ったから」
- 「本気を出せば、誰でも価値のあるものを生み出せると、娘たちに実感してもらうため(※親が運営側で、子どもはいち参加者)」
【参加してよかったこと(とくに楽しかったこと)】
- 「工作が苦手だったけど、興味を持ちはじめました」
- 「コロナ禍でも子どもとの時間を楽しめて、外出はしていないけど、どこかおでかけにいった気分にもなりました」
- 「説明もとてもわかりやすく、はじめは観ているだけのつもりでしたが、娘もつくってみたい気持ちが出てきたようで、楽しく取り組んでいました」
- 「リラックスしたムードで、クリスマスの雰囲気を楽しめたイベントでした」
それぞれの形で、親子ともに楽しんでいる様子が伝わってきます。
オンラインイベントでも積極的に参加できるため、満足度も高いようです。季節らしいイベントの開催が難しい今、新たな楽しみの形にも目を向けてみませんか?
オンラインのよさと課題。今後の展望は?
オンラインイベントについて、運営者からの意見も伺いました。まずは、オンラインイベントのよさを教えていただきます。
“ bitsオンラインこどもグループ:まずは、場所と費用を気にしなくてよいこと。なにかはじめたい個人やボランティア、企業でも、コロナ禍でのリアルな場所でのイベント実施は難しいもの。ですが、オンラインであれば費用・衛生面ともに負担が少なく、実施できるのが魅力ですね。現にbitsの活動をしてくださっている方は、子育て中の方が非常に多いです。
また、時代に合わせた細かな事業の実施がしやすいです。「平日午前中は参加できない」「自分にあったイベントや講座、おしゃべり会に参加したい」という方に合わせてイベントが実施できます。”
気軽に参加できるオンラインイベントは、忙しい子育て中にも向いていると感じます。しかし、オンラインならではの壁もあるようです。
“難しいところは、保護者の方に不安、抵抗感があることです。弊社では、多くのイベントはZoomを使って行なっています。コロナ禍で急速に広まった印象はありますが「知ってはいるけど、自分がやるとなるとよくわからない」と抵抗感がある、セキュリティに不安を感じる方も多いです。その不安感をどう払拭していけるかが、今後の課題です。”
bitsオンラインこどもグループ 活動の様子②
bitsオンラインのイベントは、チケットを購入してから、参加者専用ページのURLをクリックして参加するシステムになっています。Zoomなどのツールは、子どもだけでは使えないため、使い方とともに、オンラインイベントへの認知が広まってほしいと感じます。bitsオンラインこどもグループは
「オンラインでの子育ての魅力を多くの人に広げたい。オンラインで親子向けにイベントをしたい企業や団体、個人をサポートしていきたい」と考えています。
“もともと弊社のメンバーも、新型コロナウイルスで自粛が広がる中、個人で「なにか親子にできないか」と活動をする中で出会いました。その思いからスタートして会社をおこし、現在は20名以上の力を借りて、企画からイベントを行っています。
1人では、ここまで大きなイベントはできませんでした。とはいえ、まだまだオンラインで双方向の親子向けイベントや事業、そして参加している方も多くないと思います。これからの社会では、オンラインを活用した子育ての場はより必要になり、とても可能性があると感じています。”
bitsオンラインこどもグループの展望
- オンラインでイベントや講座をしたい個人向け、講座やマンツーマンでのサポート
- 家族や子育てサークルなど向け、オンライン講師の派遣など
- 企業やNPO・子育て支援事業者向け、オンラインでの事業のサポート
“ 私たちのイベントだけでは、「安心できる子育ての場をオンラインでも」という社会は、なかなか広がっていかないでしょう。
同じように考えていただける方のサポートを通して、全国でオンライン子育てを広げて、地域の子育ての場とつなげたいです。”
新型コロナウイルスの影響により、広がりを見せたオンラインイベント。自分にあった参加ができるイベントの形として
今後も人びとが楽しみ、つながれる場所となることを願います。