2020.12.04 17:00

認知症になっても、やりがいをあきらめない社会
人生経験を活かした「生活・遊び・つながり」があります


認知症になっても、やりがいをあきらめない社会

(執筆:林幸奈)


認知症にどのようなイメージを持っていますか? 「今は身近にいないけれど、いずれ家族が患者になったら……」と考えると、不安が大きいかもしれません。実際に家族が認知症になったことを、認めたくないと考える人もいるようです。

周囲・自分が認知症になった際のイメージ
  • サポートや介護が大変
  • 施設や病院で過ごす
  • 思い通りの生活ができない
  • 暴力や暴言、事故の可能性 など

認知症は、身近な問題となっています。2012年の認知症有病者数462万人から推測すると、「2025年の認知症の有病者数は約700万人となる」という可能性も、研究から判明しています。
<参考:内閣府/平成29年版高齢社会白書(概要版)第1章第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向(3)>

現在は早期発見や介護とともに、認知症になった場合も自分らしく生活をするためのサポートが導入されつつあります。「まだ仕事がしたい」「趣味や交友関係を広げるなど、自分らしく生活したい」と考え、実際に行動している認知症患者がいることを、知っていますか?

誰もがなるかもしれない、認知症。患者であっても、自分らしく生きる社会をつくるための取り組みをご紹介します。


そもそも認知症とは、どんなもの?

認知症とは、さまざまな精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活が営めない状態をいいます

 認知症高齢者の日常生活自立度 
  • ランクⅠ:症状はあるが、日常生活はほぼ自立している。
  • ランクⅡ:生活への支障(症状・行動や意志疎通の困難さ)が多少見られる。誰かが注意していれば自立できる。(たびたび道に迷う、それまでできたことが難しいなど)
  • ランクⅢ:生活への支障がときどき見られ、介護を必要とする。(着替えや食事、排泄が上手にできない・時間がかかる、やたらに物を口に入れるなど)
  • ランクⅣ:生活への支障が頻繁に見られ、常に介護を必要とする。
  • ランクM:著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。(せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等)
  • <参考:厚生労働省/認知症高齢者の日常生活自立度>

症状が進んでいくと、寝たきりや、衰弱が進んで病気にかかりやすくなることも考えられます。具体的な理由は解明されていませんが、バランスのよい食事や運動によって、発症や進行を予防できると言われています。

認知症は早期発見で、予防できるのが理想です。さらに実際に症状が表れたときのため、「認知症=施設や病院で暮らさなくてはいけない」という意識を改め、認知症になっても意思を尊重し、地域で生活できる環境を考える必要があります


認知症患者が、知恵や技術を活かせる場所があります

居場所や役割をもつことで、認知症患者は生活への意欲が高まり、元気になっていくと言われています。地域ぐるみで、活動や労働の場所をつくる活動も多く見られるようになりました。

NPO法人シニアライフセラピー研究所は、「シニアライフ(シニアの人生経験)」を活用した「セラピー(療法)」を研究し、地域密着型・共生型デイサービス「カルチャースクール亀吉」などを運営しています。

 カルチャースクール亀吉のコンセプト 
  • 生活リハビリテーション
    日常生活の中での機能訓練(食事づくりなど)
  • 遊びリテーション
    遊びを取り入れ、こころと身体を自然に動かす機能訓練(農業活動など)
  • つながりゼーション
    活動を通じた、社会に貢献する仲間づくり
  • 公式ホームページを参考


中でも筆頭に置かれているのが、「かめキッチン」と連携した「働く☓キッチン☓リハビリ」プログラムです。かめキッチンは、デイサービス利用者の方々が「美味しくて、どこか懐かしい」料理を提供する、カフェ&ランチ・レストラン。利用者が一般の人びとに食事を提供し、有償ボランティアとして労働の対価を得ることで、やりがいと誇りが生まれています。
<かめキッチン公式ホームページ>

世界アルツハイマー月間である9月から、かめキッチンでは認知症当事者が心を込めてつくる、「オレンジ弁当」販売されています。月曜日から金曜日(祝日を含む)の11時30分ころから販売される、人気の日替わり弁当です。
<認知症当事者の方々が心を込めて作った「オレンジ弁当」を販売しています>


オレンジ弁当
オレンジ弁当と販売の様子


「高齢化社会や認知症といった、これまでの日本を支えてきた方々を問題扱いすることは悲しい」。地域活動の新たな形として、高齢者の知恵や技術を活かしたいと、シニアライフセラピー研究所は考えています。高齢化や認知症の人が活躍できる場所は、将来自分や身近な人が生活しやすい社会につながるはずです。

カフェやレストランは、私たちも利用できる形です。みなさんの地域でも、こうした活動が行われているかもしれません。気軽な参加で、さまざまな人たちと共存できる社会をつくっていきませんか?
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