2020.12.25 17:00 更新

大型スーパーばかりの風景はなにが問題か
都市に負けない「地方の力」はまだ人を集められる?


香害の問題は、においだけではない。

(執筆:林幸奈)



大きなスーパーと、チェーンの飲食店が並ぶ風景。「どこかで見たことがある」と感じるかもしれないが、今や「どこにでもある」風景なのだと思う。2000年、大規模小売店舗法の廃止と同時に、大型ショッピングモールが各地に増えた。

大規模小売店舗法…正式名は「法大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」。1974年施行。大型店舗の出店に伴い、周辺の中小小売業者の活動を保護するものだった。

食料品から衣服・日用品や娯楽施設まで、一つの場所で手に入ってしまうのは便利だ。インターネットの発達もあり、わざわざ東京に出なくても同じような暮らしができる、と感じている人はいるかもしれない。

また交通網の整備に伴い、買い物客はより便利な都市へと流出し、繁栄と衰退が都市によって激しい。この現象は、ストロー現象と呼ばれるものだ。周辺に駅がなく車に依存している地域ではなおさら、少し遠くても車で行ける大型スーパーの方が都合のいい場合もある。そうした環境は、車のない人たちには不便に感じられる。若者が地方を離れる理由になり、過疎化が進む。

結果として、日本の地方都市は風景が似てきた。利便性を求めた結果、失われていく地域色は、風景や商業に現れる。日本はこのまま、便利さ・東京化を求めた町であふれていくのだろうか。


「自分の商店街が衰退している」が61.4%

閉店や閉鎖が目立つシャッター通り。以前から指摘されているように、商店街の衰退は依然として問題となっている。中小企業庁によると、61.4%が「自分の商店街が衰退している」と答えた。
<参考:中小企業庁/商店街空き店舗実態調査報告書 平成29年3月>

商店街の抱える課題として多いのは、以下のような点だ。
とくに高齢化は深刻だ。オーナーが店を続けられない、跡継ぎもいないというケースは多い。同時に店舗の老朽化も課題で、何年も放置された空き店舗も増え続けているという。さらに店側が空き店舗をもつことに困っていない、という現実にも危機がある。そうした店が一つ出ることにより、商店街全体がそうした空気に包まれ、閉店が相次ぐケースも。

品数も豊富な大型店と勝負するためには、商店街にしかない強さが必要だ。しかしずっと住んでいる地元の人々は、商店街の魅力に気づいていない場合も多く、昔ながらの商店街は、ショッピングモールなどに比べて新しさが欠ける。いざ町おこしを企画しても、目新しさや現実性がないと注目されない。しかし将来を考える企業や外部の動きによって、活気を取り戻した例もある。

市民と観光客をどちらも集める新たな企画とは

商店街のにぎわいを取り戻すためには、空き店舗問題の解消が第一だと考えられる。中小企業庁の調査によると、空き店舗状態が続いている原因は、このようなものだ。

 空き店舗状態が続く主な要因 
  • 商店街のにぎわいが少ない(49.1%)
  • 築年数が古く、耐震工事などの補修・改修を行っておらず貸しにくい(31.3%)
  • 所有者に貸す意思がない(31.2%)
  • <参考:中小企業庁/商店街空き店舗実態調査報告書 平成29年3月>


新しいチャレンジがしたい・活気を取り戻したいという声は、自治体に歓迎されている。条件は市町村により異なるが、商店街区内の空き店舗に出店する人に対し、改装費・賃料などの一部を補助してもらえる空き店舗補助制度がある。最近では、クラウドファンディングによる資金集めも取り入れられている。

石川県金沢市は、観光地の老朽化した空きビルをリノベーションし、宿泊施設「HATCHi」として再生した。「北陸ツーリズムの発地」をコンセプトとし、地域特産品を使った飲食店やセレクトショップを複合、さらにツアーやワークショップの実施など、観光客と地域が交流できる場にもなっている。

長野県長野市では2009年から、定期的に空き家見学会を開催している。見学後は「門前暮らし相談所」が各種サポートを実施。マッチングすることで、オーナーと利用希望者が対立することなく、長く利用できる。2017年時点で60 件以上(うち店舗は30 件以上)の物件がリノベーションされた。
<参考:首相官邸/稼げるまちづくり取組事例集「地域のチャレンジ100」平成29年3月>

必要とされるものは、時代とともに変化するかもしれない。しかし地域の声や特色を見つめれば、その地ならではの色が町に戻ると期待したい。


 この記事のまとめ 
  • ショッピングモールの参入による、商店街が衰退している
  • 高齢化や話題性の少なさ、空き店舗の増加が問題
  • 新事業をはじめるにあたり、自治体の補助が適用する


今回のコメンテーターからのご意見】

・永井 要明(ながい・ようめい)

 『猿人の峡谷【電子書籍版】』 の著者。日本自然保護協会自然観察指導員、北浦自然観察会会長、内装仕上げ施工一級技能士。数年前に引退し、現在は山口市に在住。

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過疎地に住んでいる人からよく「この辺りには何もないから、若い人はみんな出て行く」と聞く。本当に何もないのだろうか。自然が豊かなところが多いが、その自然が過疎化防止のためにほとんど役に立っていない。田舎の人も自然には余り注目していない。

私は自然観察を通して、自然の中から過疎地のために役立つ物を探し出すように、人を集め啓蒙・啓発に務めている。しかし、歴史の町萩市・津和野などは自然に対する関心が極端に低く、自然に対して関心を持ってもらうことが難しい。

マスコミがもう少し自然に対して関心を持ち、自然に関する報道を意識して増やしてくれれば、自然に対する一般人の関心も増え、地域おこしもやりやすくなると思う。自然の中ではまず、観光に役立つ物をピックアップすることが大事である。人間はもともと好奇心の強い動物で、珍しい物があれば行って見ようとする。

私の主催する自然観察会は植物を中心に自然観察を行っている。キレンゲショウマ、フクジュソウ、ヤマシャクヤク、シャクナゲ等の人気のある植物に注目してもらうように努めている。自然は宝の山である。天然資源と言えば、石油や金属や温泉くらいしか頭に浮かばない人が多いが、動植物や自然の風景は魅力有る物が多く、これらも立派な「天然資源」として、地域おこしに役立つ物が沢山あると私は思っている。
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