スポーツ庁のガイドラインによると、運動部の活動(学期中)は週当たり2日以上の休養日を設け、活動時間は長くとも平日では2時間、授業のない日では3時間程度とされています。「自分はもっと長く活動した」と感じる人は多いでしょう。
ほかにも以下のことが指示されています。
- 学校の運動部活動は、スポーツに興味・関心のある生徒が参加するもの
- 生徒が安全にスポーツ活動を行い、教師の負担が過度とならないよう、指導・是正を行う
- 生徒の心身の健康管理(スポーツ障害・外傷の予防やバランスのとれた学校生活への配慮等を含む)、事故防止(活動場所における施設・設備の点検や活動における安全対策等)および体罰、ハラスメントの根絶を徹底する
<参考:スポーツ庁/運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン>
しかしリーダーの生徒による「もっと練習がしたい」の声、本番前の緊張した空気から、練習量は制限しにくくなっていると感じます。大会の多い部活は、運動部・文化部を問わず練習が長引きやすく、時間をオーバーしても自主練という、部活動とは違う練習時間として扱うケースもあるそうです。「1日休むと取り戻すのに3日かかる」という言葉もあり、休めない雰囲気もありますね。「部活動とはそういうものだ」と大人から言われては、生徒もなにも言えなくなってしまいます。
生徒に意欲があったとしても、疲労によるケガ・学習への意欲低下が出ている現状を考えると、部活動の練習時間は見直しが必要です。たとえば学校の授業のように、時間やカリキュラムが決められていて、「もっと練習したい」と思った場合は個人で進められれば、理想的だと感じます。
活動によっては1人でできないものもありますが、大会なども希望者のみ参加とし、自由な課外活動とした方が、生徒はプレッシャーなく活動ができるのではないでしょうか。しかし、そこにはブラック部活動を「このくらい厳しいのは当然」と片づけてしまうような、部活動へのイメージが壁をつくっていると感じます。
「部活動はこういうもの」というイメージの強さ
今年は中止となってしまった甲子園ですが、炎天下のなかプレイする球児たちは、夏の風物詩でもあります。近年は屋外での部活動で、熱中症にかかる生徒のニュースも耳にするため、心配しながら見ている人もいるでしょう。
また吹奏楽部の応援も名物ですが、ある高校では自分たちのコンテスト出場をあきらめて、野球部の応援を優先した吹奏楽部がありました。メディアで取り上げられ話題となりましたが、違和感があったという意見も多いです。
学校によっては、部活動における大会などの実績が、周囲から大きく期待されるものです。また「部活動が内申点に関わる」と言われるように、部活動の実績は、学習成績と同様に評価される場面もあります。その反面で部活動が優先されるあまり、思い通りの学校生活が送れなかった生徒もいるのでは、と考えられるケースもあります。
部活動においてひとつのことを成し遂げる、完成させるのは、素晴らしいことです。しかし「学校生活において、部活動は重要である」「部活動とは大変なものだ」というイメージが、生徒に強く押しつけられ、プレッシャーや苦しさに繋がっていないでしょうか。たとえば「運動部なら、炎天下でも外で運動するべき。自分もそうしていた」という人がいます。
しかし35度を超える気温の日も続く現在では、休息を取りながらでないと熱中症になってしまいます。また「全員が長い練習時間に満足していないかもしれない」など、1つの意見やイメージにとらわれず、寛容に意見を出せる環境が必要です。
部活動を楽しみ、かけがえのない時間だと感じている生徒もいるはずです。しかし過酷すぎる練習やイメージでプレッシャーを感じないよう、環境を見直す必要があると感じます。まずはこうした現状を大人が理解し、生徒たちが意見を言いやすい環境ができることをのぞみます。
この記事のまとめ
- 過酷でやりすぎな「ブラック部活動」が問題となっている
- スポーツ庁のガイドラインより長く活動している部活動は多い印象
- 授業のように明確な時間割が必要
- 「こういうものだ」というイメージにとらわれず、意見を言いやすい環境がのぞましい