2020.10.12 11:00

大学4年2月まで「内定がない」新卒HSPの末路 ③
〜周囲の声が気になるHSPが「長引く就活も悪くない」と思う理由〜



大学4年2月まで「内定がない」新卒HSPの末路 ③

(執筆:SOCIO編集部 林幸奈)

SOCIO編集部の林です。HSP(Highly Sensitive Person)という人より繊細な気質の私は、就職活動で苦戦した経験があります。

これまで「不安が多い就活での、HSPなりの準備や対策」について2回書きました。私が大変だったのは「緊張で試験がうまくいかない」「情報量が多すぎる」、そしてもっとも気になる要素は、「周囲の声」でした。就活をはやく終わらせたい人は、多いと思います。

卒業間近まで就活を続けた私は、不安や疲れ以上に、「まだ就活終わらないんだ……」という周囲の目や声が気になり、はやく内定がほしいと考えていました。しかし長い就活、悪いところだけではありませんでした。

この記事では、周囲の声へのつきあい方や、長い就活も悪くない理由をお伝えします。



「まだ就活終わらないの?」の声が気になるときは

私が最も就活で疲れを感じたのは、「まだ就職は決まらないの?」という周囲の声でした。大学4年の夏休み明け。大学に行くと、10人のゼミで進路未定なのは私だけ。そんな私は、親や友人に「まだ就職は決まらないの?」「はやく就活が終わるといいね」と毎日のように言われました。


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心配してくれたありがたさ、はやくから対策や就活を頑張っていた友人への尊敬はあります。しかし「ありがたい」というよりも「心配させて申し訳ない」、さらに余裕がなくなると「正直放っておいてほしい」と感じていました。

また私は大学時代から、「はやく就職先を決めることが、それほど重要だろうか?」と考えていました。実は就活が長引くこと自体に、大きな不安は感じていなかったのです。しかし「就職が決まらない、負け犬の遠吠えだと思われるかも」と、人には言えずにいました。今思えば「私は就職活動をじっくりやりたい」と、周囲に伝えればよかったです。

不安や悩みを共有し、ストレス発散になる場合もあるでしょう。それでも本当に疲れている時期こそ、自分の意見に耳を傾けたほうがよいと感じます。人によって就活で大変なこと、大切にしたいことは違います。誰かにあわせた道を選択しても、歩いていくのは自分です。ペースや意識は、誰かにあわせるより、自分がどうしたいかを大切にしましょう。


疲れたら、刺激から逃げるための息ぬきを

就活で疲れを感じたときは、1人でリラックス・リフレッシュするのが大切です。「趣味でリフレッシュしたいけど、そんな力が残っていない」と考える人もいるでしょう。アーロン博士のチェックリストにある通り、HSPは刺激から逃れられる場所にひきこもる時間も必要です。刺激をオフにしてエネルギー回復の方法を、自分なりに考えておきましょう。

就活の刺激をオフにする休息の例
  • 身体がこわばるスーツ・靴ははやく脱ぐ(つめすぎのスケジュールを避ける)
  • お風呂に入る・あたためる(緊張で身体がこわばります。血行をよくしましょう)
  • 好きな作品に触れる(食べものでも)
  • 情報サイト・SNSから離れる
  • ひとりになる
私は映画を観ながら、感情のままに泣いて発散していました。逃避するだけでなく、感情を発散させるのもおすすめです。苦労は多かったですが、振り返ると、長い就活は悪いことばかりではなかったと感じています。


大学4年2月まで無い内定でも「ここがよかった」ポイント

内定が遅かった私は現在、今自分にあった仕事ができています。内定がはやかったけれど退職してしまう友人もいるからか、「はやく就職が決まっていたら、今のような仕事はできていないだろう」とすら考えます。


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自分の違和感に従ったこと
私の就職活動が長引いた理由は、うまくいかない試験にくわえ、心配性なところにありました。「社内行事が盛んらしいけど、苦手な人がいるかも」「遠くの支社に、転勤になったらどうしよう」「なんとなく雰囲気があわなそう」など、ちょっとしたことも引っかかるのです。しかし結果的には、違和感に従ってよかったと思います。

HSPは周囲の環境に影響を受けやすく、ささいなことも気になります。環境があわず、転職を繰り返すHSPの人も多いそうです。大切にしたいポイントは人それぞれですが、自分にあった環境で仕事が続けられるよう、しっかり就職先を見極めましょう。「条件はいいけど、社風がイマイチ」などと思っているHSPのあなた。面接官に向いた表情には、気持ちが出ているかもしれませんよ。

最後までやりたい業種に挑戦したこと
就職活動をはじめた時から、出版業界が気になっていました。その反面で、さまざまな工程の担当者とコミュニケーションをとる力・常に締め切りが気になる環境など、自分にできるか不安な面も多かったです。

HSP傾向がある人のなかには、「向いていない仕事」「コミュニケーションがいらない仕事」などを検索して、自分のやりたい仕事は向いていないらしい……と、落胆する人もいるかもしれません。しかし「デスクワークが多いと思っていた事務職だけど、電話対応が多い」「人と話すのは苦手だけど、自分なりの資料で提案できる営業職も楽しい」といったように、イメージだけではわからない部分もあります。

就活を終えたとき「これでよかったのだろうか?」と違和感を抱かないためにも、イメージだけで決めつけず、やりたいことへの挑戦をおすすめします。もし大変で向いていなかったとしても、今後の長い働き方を考えるためにもなります。周囲の声やイメージよりも、自分で選択した道であれば、納得できるはずです。


内定はゴールではなく、新しいスタート

「進路が決まらないと不安。はやく気が楽になりたい」
「好きなことに時間を使いたい」
「就活が長引くと、理想にあう就職先が残っていない」

こうしたイメージから、就活をはやく終わらせたい、と考える人が多いのでしょう。しかし内定はゴールではなく、新たなスタートです。就活は内定をもらうためだけではなく、「社会人として新たなスタートから、どこへ向かっていくか」を考える期間ではないでしょうか。


就活


人一倍繊細なHSP傾向のある、もしくは内定がなくて不安な就活生のみなさん。今は目の前の不採用通知や、周囲の「まだ就活終わらないの?」の声に不安を抱く毎日かもしれません。それでも自分の思い通りの進路は、人と比べられるものではなく、後悔しない進路を考えることでできていくものだと思います。

適した環境で、得意なことや自分の性質を活かせると、自分のペースを大切にしたいHSPの方は、のびのびと実力を発揮できるでしょう。そんな仕事を自分で選択できたら、自信につながります。不安を抱きながら就職活動に励んでいる人たちが、自分らしい進路が築けることを願っております。

ライター紹介

林 幸奈(はやし ゆきな)

2019年4月、株式会社22世紀アートに新卒で入社。小さなことが気になり、考えすぎるHSP気質。同年11月からSOCIOのライティングに携わり、社会・教育・趣味・芸術・人間関係など、ライティングを学びながら、さまざまな記事を作成してきました。大学では、小説を中心に文章の創作・本づくりと、学芸員課程を学びました。また大学4年の2月まで就活に苦戦しながらも、現在はずっと好きだった文章を書いて仕事をしています。自身の経験を活かして、一つひとつの悩みに「時間がかかっても、自分の価値観を大切にした選択をしてほしい」というメッセージが届く記事をつくっていきたいです。

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