2020.07.21 15:00

休園できない保育園と、仕事を休めない保護者。
コロナ禍で見えた両者の現状・求められる保障とは



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6/11、船橋市の私立保育園で職員が感染した。1日現在、100人の園児が在籍していたという。その他の地域でも、保育園の職員から感染者が出ているケースは多い。

園内で子どもの面倒をみる保育園は、密閉・密集・密接が避けられない。2月27日、3月2日からの小中高校の休校要請が表明されても、保育所などは対応が異なった。

厚生労働省の発表保護者が働いており、家に1人でいることができない年齢の子どもが利用するものであることや、春休みもないなど学校とは異なるものであることから、感染の予防に留意した上で、原則として開所していただくようお願いしたい。
<引用:厚生労働省/新型コロナウイルス感染症防止のための学校の臨時休業に関連しての保育所等の対応について(令和2年2月27日時点)>

職員や園児に感染者が出た場合の臨時休業を除き、通常通りの運営が求められた。おもちゃなどの消毒・こまめな換気を徹底していても、不安を感じる職員は多い。緊急事態宣言後も、保育再開のなかでありながら自粛要請が求めてられている状態。登園させる・仕事に行く保護者は、「自分はひどい親なんじゃないか」と悩んでいる。

子どもたち、働く親、そして保育士。それぞれが不安なコロナ禍で、保育園で起こったことを考える。


これまでも保育士不足は深刻。保障や対策は?

近年は保育園の需要がありながら、保育士が不足している傾向にあった

厚生労働省の調査によると、平成29年度における保育士数は、約7.4万人の不足だという。理由としては、責任の重さ・事故への不安、賃金・就業時間や休暇の希望も通りにくい環境がある。実際に指定保育士養成施設卒業者のうち、約半数は保育所に就職せず、就職者も半数以上が5年未満に退職している。
<参考:厚生労働省/保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて>

そもそも不満があり、職員が足りていないなかでの非常時だったのだ。

コロナ禍の保育園に対し、従業員への休業に対する手当・労働者が安心して休める体制・年次有給休暇を一方的に取得させないことを、国が呼びかけている。しかし人手不足のなか、制度が整っておらず、導入が難しい施設も多いようだ。非常勤や出勤できない職員の賃金がカットされ、退職に追い込まれるケースもあるという。こうした話が、さらに保育士を不足させることになるかもしれない。

厚生労働省の調査では、就業を希望できない理由が解消すれば、保育士を希望する資格保有者は63.6%いる。さらに国は処遇改善(全職員へ6千円程度・経験者はさらに優遇)、スキルアップへの援助を実施させている。保育士不足を解消するには、現状と待遇を見つめ直す必要がある。また、多くの人に現状を知ってほしい。

仕事を休めない保護者の現状を変えるには?

「仕事のために、子どもを保育園に預けるしかないが、面倒が見られなくて心配」 という声が、保育士から聞こえているらしい。

厚生労働省は、子どもの世話で仕事を休む保護者へ、有給休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業に対する助成金を創設した。助成金は業種・職種、正規雇用・非正規雇用を問わず対象となり、1日あたりの上限額は、8,330円から15,000円に引き上げられた。
<参考:厚生労働省/小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました>

しかし「自分がいないと仕事が回らない」「他の人は働いている」という意識から、仕事が休めない風潮は以前からあった。プライベートとの両立ができるとされる自宅勤務も、目の離せない幼い子どもをみながらでは、難しいという声が多い。自治体が「登園の自粛を呼びかけている」状態であっても、母親が仕事を休めない以上、子どもを預けるしかない。

それでも気軽に休める環境は、すぐに言われてもつくれないのも事実だ。1人で管理している仕事がないよう情報を共有する、休みを交代で取れる制度をつくるなど、改善をしていく必要がある。今後周囲の人びとも必要なときに休みが取れるよう、自分の状況を説明し、どうしたら改善できるかを考えていこう。

利用者制限や給付金。保護者が求める保障はなにか

自粛を求めるための基準や対応が、自治体によって異なることも気にかかる。仕事の都合などで、他市の保育園に通わせている場合、どちらの市の対応を受けるべきかと戸惑った人もいるだろう。

横浜市は利用者を減らすため、両親の仕事が医療関係従事者・ライフライン従事者など、保護者の職業で利用を制限した。通えない日の費用については、利用した日割りでの請求を可能にしている。福岡市は、緊急事態宣言の期間も子どもの保育・支援を行った従事者に向け、1施設当たり上限60万円を給付すると決めた。施設からは対応した職員に配分するよう、指示している。

必要な家庭に保育が届き、働く人を尊重した保証であることはわかる。しかしその保育の場にある感染リスクが、職員や保護者にとっては最も大きな不安だ。「自粛をお願いしたい」ではなく、「原則休園・保護者は休ませる」という強い言葉がほしかった保育園・保護者は多かっただろう。

コロナ禍で生じた問題は、保育園や子育てへのサポート・休めない風潮など、今までも起こっていたものが浮き彫りとなったケースも多い。またそれらの風潮は、近年前例がない世界的なパニックでも、解消するのは難しかった。

自身や周囲の人が置かれている環境は、非常時に対応できるかどうか。これを機に見直し、考えてみよう。


この記事のまとめ 

✔︎ 保育園は感染が発生しやすい環境だが、開園を求められている

✔︎ 人手不足により、保育士に対する補償に対応できない園も多い

✔︎ 保護者も仕事を休みにくい風潮がある

✔︎ 自粛要請も地域によって差があり、休園は難しい

✔︎ 保育士の待遇・保護者の休める環境をつくれるよう、現状を見直そう

(執筆:林幸奈)

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