2020.02.04 13:00
長期化する避難生活を助ける「切れ目のない支援」
災害支援ボランティアに必要なモノや心構えとは?

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1995年、それまで特別な市民や団体によるものであったボランティアが、一般市民に定着していった。きっかけは阪神淡路大震災であり、1995年はボランティア元年と呼ばれる。

近年では、東日本大震災をきっかけに、ボランティアに関心をもつ人が増えたという。平成25年の調査では、ボランティア活動をしたことがある人は全国の市民10,000人のうち35%、関心がある人が58.3%。関心がある人のうち32.2%が「東日本大震災後に関心を持つようになったと答えている。
<参考:内閣府 平成25年度 「市民の社会貢献に関する実態調査」

しかし、発信される震災関連の情報や、人々にめばえた防災意識は、時間とともに風化してしまう。報道はあまりされないが、東日本大震災により、昨年12月27日時点で48,633人がいまだに避難生活を続けている
<参考:復興庁 全国の避難者の数(所在都道府県別・所在施設別の数)避難者の数[令和元年12月27日]>


昨年の台風の被害も、記憶に新しい。10月12日に発生した台風19号による避難者は、1月10日時点で福島県に116人いる。
<参考:内閣府 令和元年台風第19号等に係る被害状況等について(令和2年1月10日10:00現在)>

震災が起きてすぐは、ボランティア活動や寄付を募る声が大きくなる。けれどその熱が冷めてしまったあとも、被害に苦しみ避難生活を送る人はいる。二人の作家のメッセージとともに、被災地の今を考える。

役立つ支援と困る支援とは?

ボランティアに参加する人のなかには、身軽な服装で、食料やお金を持たず被災地にきてしまう人も時おりいるそうだ。
ボランティアには、
自主性・主体性
(誰かからおしつけられて、やるものではない)

無償性・非営利性
(報酬を期待しない)

社会性・連帯性
(特定の人ではなく、多くの人のために)

先駆性・創造性
(今なにが必要かを考える)

という四原則がある。

マスクやゴーグルを着用して安全に配慮し、自分の日用品や食料・交通手段などを確保する必要があるまた、事前にボランティア保険(活動中のケガや損害賠償が発生したときにかかる費用を補償する損害保険)に入る必要があり、準備は多い。各地の災害ボランティアセンターの募集状況も、確認しておこう。

救援物資を送る際にも、なにが必要なのか考えることが大切だ。水や食料以外に好まれるモノはなんだろうか?片岡ふみとさん(詩人)は昭和25年、ジェーン台風(9月3日~9月4日に日本を通過。最大瞬間風速は和歌山46.0m/s、期間降水量が四国東部で200mm以上)を経験した。


<ゲスト紹介>

片岡 ふみと(かたおか・ふみと)
詩人。
詩集 カエルの音楽隊の著者。


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“ 当時のわが家はわらぶき屋根で縁側なし、板戸と障子だけの家屋。雨戸の内側に座布団やら米俵をおいて、戸が吹き飛ばされないよう、家族全員で押さえ台風と対峙しました。その時私は10歳でした。家がきしみ、雨戸を押さえる叔母がムカデに刺され、とても怖かったです。近所の家々も似たようなもので、情報源といえば新聞と壊れかけたラジオだけでした。”


今より情報収集が難しい時代の話、と思われるかもしれないが、震災時は停電により、インターネットやテレビが使えなくなる。電源が不要で情報源になるモノの支援は好まれるという。
【役立つ支援物資】
新聞 / 充電式のラジオ / 
懐中電灯 / 乾電池

【困る支援物資】
千羽鶴 / よせ書き / 生鮮食品 / ぼろぼろの衣服(古着)

※量が中途半端な個人による支援物資は扱いに困る場合があるため、募金による支援も考えよう。


片岡さんは自身の経験から、日頃から防災の意識をもっているという。


“ ムダになろうと人が心配性だと言おうが、おかまいなしで作業をして災害に備えます。一度経験してしまうと、小さな台風であっても恐ろしいのです。昨年の台風で被災されたみなさま方のご心痛を察するに、やり切れない思いです。ご冥福とお見舞いを申し上げ、そして一刻も早い復興を心からお祈りする次第です。”


住宅の再建にかかる費用は?

台風第15号・第19号をはじめとした豪雨・暴風の復興については、
1 生活の再建
(廃棄物・土砂の撤去、被災者のニーズに応じた住宅再建等、停電・断水の解消等、切れ目のない被災者支援など)

2  生業の再建
(中小・小規模事業者の支援等、農林漁業者の支援、観光需要喚起に向けた対策、被災地域の特別の雇用対策など)

3  災害応急復旧
(河川・道路等の復旧、 二次被害の防止、災害復旧事業の迅速化)

4  災害救助等

<参考:内閣府防災 被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた対策パッケージ >

があげられた。忘れてはいけないのが、「切れ目のない支援」。物資の足りない被災地では、やはり被災地の外からの力が必要だ。離れた地方の人たちから忘れられても、被災地の苦しい生活は続く。作家の板垣衛武さんは、兵庫県で阪神淡路大震災を経験し、自宅を復旧した。


<ゲスト紹介>

板垣 衛武(いたがき・もりたけ)
作家。
石見浜田藩異端船頭二代記』の著者。


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“ 私の父が晩年、西宮市の上ヶ原病院で亡くなりましたが、翌年に上ヶ原病院が地震のため壊れたのを見て、衝撃を受けました。1995年1月17日熟睡していた私の家族は、強い衝撃を受けてベットから身体が飛び上がりましたが、幸い家族全員無事。

市役所で、家屋半壊罹災証明書をもらい、すぐ金融機関三ヶ所を回りましたが、どこからもよい返答はきません。門扉(まず防犯のため)・家の外壁・床・台所・風呂と順番を決め、「自力でやるしかない」と親しくしていた工務店と相談し、なんとか復旧しました。”


住宅の再建にも、費用と時間がかかる。東日本大震災で全壊被害に遭った住宅の新築費用は、平均して約2,500万円。それに対して公的支援として受給できるのは、義援金をあわせても約400万円だった。
<参考:内閣府/防災情報のページ> 住宅・生活再建にはこんなにお金がかかる>

そのほか新居に必要なものや、引っ越し資金もある。新しい環境で過ごすことへのストレス対策、心のケアも必要で、新しい生活をはじめるには、やはり長期的な支援が課題となる。板垣さんは、昨年の台風・豪雨の被害者を案じている。

 

“ 今年台風で大きな被害を受けた方々が、どうか一日でも早く笑顔と元気を取り戻して下さるよう、関西弁でエールを送ります。「命さえあればどないか成るもんでっせ、疫病神の次は福の神が来ますさかい」”


この記事のまとめ 

✔︎ 災害から時間が経過し、報道があまりされなくなっても、避難者や被害に苦しむ人は多い。復旧には時間がかかり、長期的な支援が必要になるのを忘れず「切れ目のない支援」をしていこう。

✔︎ 
ボランティアは安全・食料・交通網・などを自分で確保し、保険に入らなくてはいけない。気軽な気持ちではなく、しっかりと下調べなどの準備をしてから参加しよう。

✔︎ 物資の寄付は、水や食料以外に、電源のいらないラジオなど情報源になるモノが好まれる。相手が今必要なものを考え、募金による支援も考えよう。


(執筆:佐藤志乃 / 制作:一条恒熙)