2020.03.11 16:00
芸術鑑賞は苦手ですか?
ハードルが高いという人に知ってほしい、本物を見る楽しさ

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若者の芸術離れが進んでいる、と言われています。

平成31年2月15日~2月20日に実施された世論調査では、文化芸術(コンサート・美術展・アートや音楽のフェスティバル・歴史的な文化財・映画)を「まったく・ほとんど鑑賞していない」と回答した人が、46.1%。

<参考:文化庁/文化に関する世論調査(平成30年度調査)>

結果をみると、どの年齢層でも芸術離れが起きているのではないか、と感じます。また「技術に自信がない」「なにをつくればいいのか、わからなかった」という理由から、美術の授業に苦手意識があった人は、意外にも多いようです。

歴史は苦手で、文化史に疎いから……と遠ざかっている人もいませんか。

一方で、自分にない視点を取り入れ、思考を見つめなおすという目的で、最近では社員研修にアート鑑賞を取り入れる企業も増えています。芸術鑑賞には、どのような姿勢でのぞむべきか。

私たちが芸術から学ぶべきことは?芸術に触れる楽しみ、芸術鑑賞のポイントを、ゲストから聞いていきます。

芸術鑑賞には知識が必要?本物に触れる意味とは

実際に作品を見て、作品の概要・紹介文以上のものを感じることが、芸術鑑賞の目的です。想像以上の大きさや、写真では伝わりにくい質感を見るだけでも、作品の印象は変わります。また同じ作品でも、見る人によって感じることはそれぞれ。

「芸術鑑賞は、知識が豊富な人の趣味だ」「ハードルが高い」「知識を身につけ作品を見るだけなら、本やインターネットで十分」そう思っていませんか?

芸術鑑賞と知識を求めることは別であると、栗原浩太郎さん(人材会社(株)アイブレインズ元代表取締役、現在同人作家)は言います。


 本やインターネットの知識は、あくまでも入門編にすぎません。感動が得られることはあっても、ほんの一部でしかないと思います。本物のオーラに全身が包まれ、魅力が振動する経験こそ、大きな感動につながるのです。



<ゲスト紹介>

栗原浩太郎(くりはら こうたろう)。

人材会社(株)アイブレインズ元代表取締役,現在同人作家。
芸術をめぐる旅: 伊八、北斎からドビュッシーへ』の著者。

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実際に作品を見て、作品の概要・紹介文以上のものを感じることが、芸術鑑賞の目的です。想像以上の大きさや、写真では伝わりにくい質感を見るだけでも、作品の印象は変わります。また同じ作品でも、見る人によって感じることはそれぞれ。

そこに正解はなく、「自分だけが感じたこと」が大切です。知識だけで芸術を捉える考えは、改めるべきであると栗原さんは考えています。


欧米の知識人達は、専門知識はもちろんのこと、それ以外に文化的・芸術的素養を積んでいます。知識だけでない、鑑賞の方法がわかっているのです。専門知識に依存する日本人は、つきあいに困るという話も聞くほど。今後、改善していくべき問題です。” 


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子どものころから芸術に触れるメリット

栗原さんが芸術に興味を持ったきっかけは、幼少期にあったといいます。

私が小学校のころ、父親が仲間を自宅によび、クラシック音楽の鑑賞会をたびたび開いていました。となりの部屋で聞き耳をたて、私はしだいに音楽の魅力にひかれていきます。この体験が、すべての芸術に親しむきっかけになりました。


幼少期から、たくさんの芸術作品に触れることで、広い視野と豊かな感性が身につくといわれます。芸術を通じて自分の考え・多角的な見方を理解することで、芸術鑑賞へのハードルの高さも感じなくなるでしょう。


 子どものころから、たくさんの芸術作品に接する機会を持たせましょう。音楽会・展覧会・授業での詩作鑑賞など、家庭や社会で数多くの芸術作品に接する機会を用意するべきです。


はじめて芸術に触れる子どもには、対話型鑑賞がおすすめです。

対話型鑑賞の方法
◯作品名・正解は提示しない
(子どもの反応が予想できない、抽象的な作品がおすすめ)
◯質問し、気づいたことを上げさせる
◯どんな意見も受け入れる
◯意見をまとめ、結論に向かう

小中学生向けの芸術鑑賞でも、対話型鑑賞が注目されています。子どもの意見を引き出すことで、発見することの楽しさや、美術への関心が深まるのです。自宅で写真や本を一緒に見て、興味の湧いた作品を見に行くのもよいですね。

また、博物館では、ギャラリートークやガイドツアー・ワークショップなど、作品への理解や関心を深めるための催しが開かれます。鑑賞の場に足を運ぶことは、いろいろな楽しみ方を発見できるチャンスです。

芸術から遠ざかっている人も、自分なりの楽しみ方を見つけてみませんか。



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この記事のまとめ 

✔︎ 芸術鑑賞は、知識を求めることではない。

✔︎ 
本物を前にした感動、自分だけの感性に出会うことが目的。

✔︎ 子どものころから、芸術に接する機会を設けるべき。

(執筆:林幸奈)