2020.07.16 16:00

密集する都市から、地方に移住したい。
コロナで需要は増加。暮らしや仕事はどうする?



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満員電車の問題点は、窮屈さだけではなかったと気づかされました。実は以前からも、インフルエンザなどの感染症が流行する時期は、人の密集する満員電車が危険だと言われてきたのです。そもそも、都心に大勢の人が集まっていることも問題ではないか、と考えられるようになりました。在宅勤務を導入する企業も増え、働き方に大きな変化が見られています。

自宅にいる時間が伸びたことで、家族との時間やプライベートを大切にしたいなど、価値観にも変化が見られました。また今まではアクセスのよい都心に住む人が多かったのに対し、自宅で仕事ができるなら快適さを求め、物価も安く自然豊かな地方に移住したい人も増えているのだそうです

コロナ禍で変化する生活や空気が、人混みなどのストレスから解放されるため、地方に移住したいと考える若者の背中を押しているそうです。都心に出てきた若者が地方に戻る「Uターン」、都市出身の若者が地方に進出する「Iターン」という言葉もありますが、新しい土地で生活をはじめるには勇気がいると感じます。事前に不安を解消し、理想の地方生活をはじめるための心がけや、新たに生まれる働き方を見ていきましょう。


都市に人が集中。地方ではなにが起きている?

人口が都市に集中することで、地方は疲弊し、さまざまな課題がありました。

労働人口が都市部に集中することで、地方は人手が不足しています。
地方の課題(人口減少、高齢化と地域経済縮小の悪循環にかかわるもの)
労働力不足
②経営者の後継者不足
働く場所・働き方の多様性の低下
④地方経済・社会の持続可能性の低下
<参考:総務省/地域・地方の現状と課題>


「地方は仕事が少ない」あるいは「農業などの一次産業に偏っていそう」というイメージが聞かれます。こうした背景で企業が減り、より若者に魅力的な仕事が減っているのです。都心よりITなどの技術者が少なく発展に遅れが出ている、少子高齢化が進む一方で、介護人材が不足するなどの課題が深刻になる恐れがあります。

地方は交通機関が衰退している、あるいは元々発達しておらず、車がないと不便だというイメージも強いです。都心部で交通ラッシュが見られる一方で、地域公共交通の輸送人員は軒並み大幅な下落傾向にあり、全国の6割の事業者が赤字という事実があります
<参考:首相官邸/都市部及び地方部における地域交通の現状>


利用者が減ることで、本数が少なく、貴重な交通手段であるバスが廃止になることもあるのです。交通の衰退により、さらに若者が便利な都市部に流れる、という連鎖が起こります。

仕事や交通網の不足は、地方に人の流れができ、必要とされるのが第一歩です。次は地方への人の流れをつくるため、仕事や住む場所を探す取り組みに注目します。
都心とつながりながら地方で働く形とは?

地方で働くことも、新しいライフスタイルとして認知度は上がっていますが、それでも地方での就職活動は大変で、「スキルを手放した」「諦めた条件がある」という話も多いようです。

コロナショックの影響もあり、今後の転職活動はスキルが必要になると言われています。たとえばITの知識がある人は、地方で重宝され、参入による新しい事業が期待できます。またリモートワークの導入により、住む場所が自由に選んで働ける企業が増えました。スキルや都心とのつながりを諦めない働き方は、今後さらに期待できそうです。また有名企業の地方支社に就職する、スキルを活かし地方がまだ開拓していない分野で起業する、という方法もあります。

さらに近年、都市と地方どちらにも生活の場をもつ、2拠点生活というライフスタイルが注目されています。地方で副業する、休日は地方で生活するといったケースです。都市だけで生活してきた人はリフレッシュや新しい人間関係を得られ、交通や消費、労働力などで地方を活性化できます。費用や時間もかかりますが、やがて移住したい人にもおすすめされるスタイルです。

明確なビジョンが見えない場合は、インターネットの情報から自分にあったものを探すより、専門の場へ相談に行きましょう。ハローワークの地方就職支援コーナーは、関東はハローワーク飯田橋、関西ではハローワークプラザ難波に設置されています。
<参考:厚生労働省/「地方就職支援コーナー」は次のハローワーク(公共職業安定所)に設置されています>


いざ引っ越してから、「仕事が見つからない……」となっては危険です。住みたい地方を調べるときは、一緒に求人情報などにも目を通し、しっかり下調べをしましょう。自由な働き方ができる企業を都心で探すのも、手段のひとつです。


ギャップを解消する「お試し移住」ができる?

定年退職後、夢だった地方での田舎暮らしをはじめた。しかし買いものは大変だし、部屋に虫が出るのに耐えられず、半年で都心に戻ってしまった……。あこがれの地方生活でギャップに苦しむ人、実は多いようです。

こうしたズレを解消するために、2段階移住があります。まずは引っ越す地域付近の発展した市で生活し、環境に慣れつつ自分にあった田舎部に移住していくスタイルです。「こうち二段階移住」では、都市部の高知市にお試し移住し、移住費用補助(最大20万円)などのサポートを受けつつ、高知を巡りながら自分の住みたい地域を探せます。

また地域に携わりながら移住を検討する制度として、地域おこし協力隊があります。隊員は1年以上3年以下の期間、地域に居住。地域おこしの支援・農林水産業への従事などの「地域協力活動」を行いながら、地域への定住・定着を図ります。報償や経費などを含め、1人あたり440万円を上限とした支援があり、活動から今後の仕事を考えられる制度です。気になる場合は、自分のスキルにあった活動や、その地域の参加条件を調べましょう。
<参考:総務省/地域おこし協力隊について>


仕事や環境のギャップに悩まず、長く生活できるように、補助や制度も含めた事前調査が必要です。都市からの移住に積極的な自治体も多いため、制度や補助についても調べてみましょう。

この記事のまとめ 

✔︎ 都市に人が集まり、労働力の不足・交通の衰退が生じて、さらに若者が都市に流れている

✔︎ リモートワークや2拠点生活といった、地方での働き方も出ている

✔︎ 2段階移住や地域おこし協力隊など、お試し期間を設けてライフスタイルを考えられる制度もある

✔︎ ギャップが生じないよう、しっかり下調べをし、補助なども活用する

(執筆:林幸奈)

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