2019.12.18 15:00
無個性の人が自分らしさを出す方法
協調性が高すぎる人が陥るアイデンティティ迷子から抜け出そう

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自分を無個性だと思っている人にも必ず個性がある。環境に適応するために自分のことがわからなくなっているだけで、あなたにとって「変えると苦痛に思うこと」それが個性ではないだろうか。
日本国憲法 第十三条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

私たちには自分を愛し、守る権利が生まれたときから備わっている。そして、他人の幸せを決める権利はない。

社会のグローバル化が当たり前となり、仕事が人工知能(AI)に奪われる時代、アイデンティティ・個性の大切さが叫ばれている。

しかし、いまだに就活生は真っ黒なリクルートスーツ姿で、街のサラリーマンは誰もが同じ格好をしているのはなぜか。多くの人が理想と現実社会の矛盾に頭を悩ませている。


日本人は空気を読み、協調性を重んじる傾向にある。「出る杭は打たれる」ということわざがあるが、集団の中で目立つことは、場合によっては人間関係の不和をもたらす。
「個性を出していこう」と言われても、どうしたらいいのか戸惑う人は多く、自由になるための個性が重荷になっていないだろうか。

個性を負担に思う人は、自分が周りとずれた感覚を持っていないかを最優先で気にしている。
「自分がどう思っているか」と向き合わなければ、「自分はどうしたかったのか」考えても答えは出ない。多くの日本人は、空気を読みすぎたせいで自分らしさを見失い、アイデンティティ迷子となってしまったのではないか。

自分らしさとは特別ではなく、誰もが持っているもの。顔つきや好みが違うように、物事の捉え方や表現の仕方も、当たり前に存在していいはずだ。

そこで三人のゲストから話を伺い、他の人にはない自分らしさを見つけていくためのヒントを探していく。
個性を確立するために必要な自己効力感とは?
個性とわがままの違いがわからず、自分らしさを出すと他人が離れて孤独になるのではないかと恐れる人もいるだろう。しかし「孤独とは自由であることかもしれない」と、糸谷二三雄さん(シンガーソングライター / 元社会福祉士)は語る。

<ゲスト紹介>

糸谷 二三雄(いとたに・ふみお)。
シンガーソングライター / 元社会福祉士。
ものろうぐ』の著者。


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“ 「一人で何でもできたら自由度が増すし、気楽になっていいわ」という考えもあります。劣等感から解放されたいのであれば、好きな事をつきつめましょう。

これは心理学でいう、防衛機制の「補償」や「昇華」と呼ばれることです。自分はできるという自己効力感を高めましょう。”
自己効力感とは
〇「自分はできる」という期待や自信のこと
〇 困難を乗り越えて自分を成功に導く力や忍耐力を培うために必要

さまざまな行動を自分で選択する経験が積み重なると自己効力感が高まり、望んだものが手に入りやすい環境になっていく。なぜなら、望む道を切り開ける人には、自然と自信がつくからだ。

この道が「自分らしさ」であり、幸せに生きることにもつながる。
人間は「変わりたい」「いやこのままでいいや」と相反する感情を同時にもつ生き物です。『人は望んでこそ変わる』のですから、この問題をご本人が考えているなら準備はできています。
ムリに今の自分から変わろうとせずとも、「これが好き」「こうしていきたい」という気持ちを大切にすれば、進む道を思い描けるはずだ。「自分がどうしたいか」を大切にしていこう。

 

自分とは正反対の考えと折り合いをつけるためには?
自分を大切にするということは、自分だけを大切にすることではない。他人の考えに賛同できなくても、その人にはその人なりの考えがあることを尊重してほしい。

何に価値を見出すかは個々によるからだ。自分とは違う意見とぶつかったとき、時間が経ってから本質に気がつくことがある。櫻井公さん(マーケティングプランナー / 著述家)は、兄弟の考えに驚かされた、幼少期の経験を話してくれた。

 

<ゲスト紹介>

櫻井公(さくらい・いさお)。
マーケティングプランナー/著述家。
生活宇宙52話: ものは考えよう』の著者。


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 幼少年時代のある日、僕を一番可愛がってくれた歳の離れた兄が駄菓子屋でキャラメルを買ってくれました。僕は家が貧乏だと知っていたので、家族の誰にも、お菓子をねだったことはありません。すぐに箱と包みを開け、はじめてキャラメルを口にしました

そのとき、兄はすかさず一言「公(自分)、友達には半分あげなあかんで!」と言いました。「エーッ? 半分? 多すぎるのと違う……」と、幼い私は心の中で呟くほかありませんでした。
自分の見ているものを、他の人も同じように見ているとは限らない。相手の考えを聞くことで、今まで見えなかったものが見えることもあるだろう。自分とは違う考えに耳を傾けると人間として大きくなれるのだと、櫻井さんはいう。
兄の言葉を受けて、世の中には人の数だけ多様な価値観が存在するのだと思うようになりました。正反対の考えにも、自分のためになる何かがきっと「ある」のです。

自分の「心のドア」はいつでもだれにでも開けておくと、話題を広め人間としての魅力を格段に高めてくれると思います。
自分と違う価値観との出会いは、視野を広げるチャンスだと思って大切にしていきたい。

自分と他人の考えは違って当たり前なのだから、人を否定するよりも「この人はそういう考えなんだ」と受け入れる気持ちがあれば、きっと新しい自分に出会えるはずだ。

 

劣等感から脱却し、集団の中でも輝くためには?
日本の若者は、諸外国の若者と比べて、自分自身に満足していたり、自分に長所があると感じていたりする者の割合が最も低く、また、自分に長所があると感じている者の割合低下しつつある。
● 🔗 内閣府 - 令和元年版 子供・若者白書(概要版)

 

学校や職場などの集団生活では、人の意見が気になって、自分を表現する場所がわからなくなることがある。

しかし、あえて自分を出してみると周囲とよりよい関係が築けるのだと、松野郷俊弘さん(北海道詩人協会々員) はいう。

 

<ゲスト紹介>

松野郷俊弘(まつのごう・としひろ)。
北海道詩人協会々員。
北海道の森林鉄道』の著者。


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“ 集団の中できちんと反応せず曖昧なまま、軽く浅い人間関係を求める傾向があるのは、自分が傷つくことを恐れ避けているからなのでしょう。「周りと比べて自分は劣っている」という劣等感は、他人に対する遠慮が生みだします。

自分の殻を破るためには、相手がアクションを起こしてきたときに、それにきちんと向き合って反応することが必要です。内にこもらず外へ向かって自分の行動を示していけば、劣等感から脱却できるのではないでしょうか。
自分にしかできないことは、どんどん伸ばす。逆に苦手なことは、それが得意な人に任せる。こうして社会での役割を担っていく。お互いを尊重したコミュニケーションが大切だ。
“ 誰かと一緒でなければ何も出来ない人は、性格が優柔不断で消極的、自分の考えに自信をなくしているのだろうと思います。

自信を取り戻すためには行動することです。自分を取り巻く社会集団の中での役割を自覚し、人にはない自分だけの魅力を表現していく努力が必要でしょう。”
社会の一員になることは、周りの色に染まることではない。個性とわがままをはき違えて、自分の色を好き勝手に塗っていないだろうか。

大切なのは、相手の自分と違うところをしっかり見て、自分の色をどこで使うべきか考えることだ。一つのものに偏りすぎない、色とりどりの世界にしていこう。



この記事のまとめ
◯ 自分で選択する経験の積み重ねが自己効力感を生み、自信がつく。「自分がどうしたいか」を大切にしよう。
〇 自分とは違う意見にぶつかる機会は、自分の視野を広げるチャンス。理解できなくても否定をせず、個々を尊重しよう。
〇 社会集団の中で役割や自分ができることを自覚し、自分らしさを発揮していこう。
( 編集:佐藤志乃・林幸奈 / 制作:一条恒熙)