2019.11.15 14:00

第二章
西欧哲学をきっかけに、日本の民族性を探る
配山實(作家)


奄美大島に残る巫女文化をキーワードとし、独自に古事記の研究を続けている配山實さん(作家)。

日本のルーツを未来につなぐ使命感に燃え、書き続けている。

その思いに至るには、戦後の読書体験が大きな影響を与えたという。ころの原風景を詩として描写しつづけている深津朝雄さん(栃木県現代詩人会・会員)は、国語教育のパイオニア・大村はま氏から影響を受けたという。
敗戦後の日本では、西欧文化が光り輝いて見えていました。

国内で起きるさまざまな変化が「猿真似文化」と揶揄されていたこともあり、「日本に学ぶべきものはない」と思っていたのですが、マルティン・ハイデッガーの『存在と時間』を読んだことで考えが一変しました。
【マルティン・ハイデッガーについて】

ドイツ生まれの哲学者。

「存在」そのものを分析した死生観は、のちの思想家や学者たちにも多大な影響を与えたといわれている。

言い回しが難解なため、ハードルの高い難書としても知られるが、現代人にも通じる普遍的な考え方を示した。

『存在と時間〈上〉・〈下〉』 ちくま学芸文庫、『形而上学入門』 平凡社ライブラリーなど著書多数あり。
当時の日本は高度成長期で、「日本とはなんぞや」の本が書店に山積みでした。

猿真似上手な日本人が、欧米先進諸国に追いついたのは当たり前、との日本評が多かったです。

しかし猿真似するにも知識が必要で、まずは自分たちのことをよく理解する必要があります。

そこで日本民族の歴史や文化に興味が湧き、民族の本質を探るために古事記を手にしました。

そのきっかけは、西欧哲学の本から「ある民族の民族性を知るには、その民族の母語を知らなければならない。」と学んだことでした。
読書で得た知識と向き合う
自分なりの疑問をぶつける
答えを導きだす


このプロセスは、現代人に求められる「能動的に学ぶ姿勢」だ。

配山さんはこの繰り返しで生きる力を培い、情熱的な人生を歩んできたのだろう。


▼ ゲスト紹介

配山實(はいやま・みのる)
作家。
1937年、奄美大島生まれ。敗戦後の皇国史観アレルギーの最中に教育を受けた者の一人として西洋文化に心酔し、カント、ハイデカー等のドイツ哲学書を読み漁ったが、西洋文化の底の浅さに気付き、熱が冷めてしまった。その後は非白人国の中で逸早く先進国の仲間入りを果たした日本のルーツに関心を抱くようになり、記、紀、万葉との対面となった。奄美に残る巫女文化をキーワードに、記神話の深層、仏教以前の倭の文明文化の真髄に迫る研究を続けている。