2020.01.22 14:00
初心者向け、野鳥撮影のすすめ

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昔から季語として短歌や俳句に登場するように、野鳥は四季の移ろいを感じさせる存在でした。自然の風景にあらわれる野鳥に魅力を感じるのは、とても日本人らしく、趣深いことですね。

現在でも野鳥の観察や撮影は、趣味として愛されています。鳥の美しさ・かわいらしさが人間を魅了し続け、姿を見たい、写真に残したいと思わせるのでしょう。その人気は、「休日に撮影に行ったら、公園が満員だった」という話を耳にするほどです。

おなじ風景を見ていても、感じる魅力は人それぞれ。撮影の場に集う人は、どんな瞬間を待ってシャッターを切っているのでしょう。

野鳥撮影というと、高価で大きなレンズのついたカメラを構えた、写真の技術が高く知識が豊富な人のための趣味、というイメージがあります。「初心者には難しくて手が出せない」、「軽い気持ちで撮影に行っていいのだろうか」、と考える人も多いかもしれません。


しかし、イカルチドリやイソシギを撮影しているという春田行夫さん(日本自然科学写真協会員)は、技術や知識量にしばられず、純粋な興味から撮影に入ってほしいと言います。

初心者が野鳥撮影をはじめるとき、必要なものはなんでしょうか。


<ゲスト紹介>

春田行夫(はるた・いくお)
日本自然科学写真協会員。
イカルチドリの子育ての著者。


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600種類もいる野鳥、どうやって調べる?

まずは野鳥のどこに惹かれ、どのように撮影をしたいのかを考え、知りたいことを調べていく必要があります。


“ 日本には600種以上の野鳥がいますから、鳥について調べることは、大変なことです。まずは身近な動物・野鳥を観察して、特徴をつかむこと。動物や野鳥を撮影するには、相手を知ることが大切になります。”


それぞれの野鳥が生息している土地を知っておけば、どこに撮影に行けばいいのかがわかり、それぞれの魅力を知っておくことで、撮影のポイントが押さえられるようになります。


“ 鳥の種類や性格を知るために、図鑑を購入しましょう。図書館で調べたり、インターネットで検索するのも有効です。好奇心から、知識は豊かになりますね。

日常生活のなかでも、多くの野鳥に接する機会がありますが、よく目にする鳥でも名前を知らないことが多々あります。名前を知っていることで、普段から鳥を見かけるのも嬉しくなり、撮影もより楽しいものになるでしょう。”


持ち運びができる大きさの野鳥図鑑があると、撮影にいくときに携帯して、見たことのない野鳥をすぐに調べられます。自分にあった一冊を見つけましょう。


実際に撮影へ、マナーや持ちものは?

野鳥を調べていると、やはり実際に鳥たちのいる場所に行って、その姿を観察・撮影したくなりますね。野鳥撮影は、自然豊かな公園や山、川で行います。そうした環境で必要な持ち物を聞きました。



“ 参考までに私のスタイルをお教えしましょう。カメラはN社ボディに600ミリF4レンズをつけ、河川敷に携帯用テントを張ります。その他の持ちものは交換レンズ・お茶や弁当・手袋・雨具・座椅子・三脚などです。”


気候や天候にあわせた服装を心がけ、変わりやすい天候に備えて帽子や雨具も用意します。また鳥を怖がらせないように、音がしたり反射したりする素材の持ちもの、服装も避けましょう。水分補給できるものや、撮影が長時間に及ぶ場合には食料も必要です。また野鳥撮影には、次のようなマナーがあります。
1 野鳥の巣には近づかない
2 野鳥を追い回さない
3 珍鳥や人気の鳥の情報を公開しない
4 周囲の人や撮影場所選びには十分な配慮をする
5 餌付けや、環境改変は行わない
6 自然にやさしいマナーを心がけよう
7 ストロボは使用しない
<参考:公益財団法人日本野鳥の会>マナーを守って野鳥撮影をもっと楽しもう — 野鳥撮影マナーブック —>

初心者が趣味仲間を見つけるための場所とは?

準備をして撮影に向かっても、初心者は自然のなかで、鳥を見つけることさえ難しいといいます。


“ 撮影画像をスマホやパソコンで見たら、なんの鳥が写っているのかわからなかったり、シャッターのタイミングが悪かったのか、思ったように撮影できていなかったり。野鳥の撮影は難しいもので、撮りはじめたばかりだと、そんな失敗もあるでしょう。

そこであきらめずに興味が深まったら、鳥を撮っている人に話を聞いたり、「日本野鳥の会」の観察会に参加してみたりすると楽しくなります。”


日本野鳥の会は、初心者向けバードウォッチングを全国で定期的に開催しています。会員でなくても、双眼鏡などの道具がなくても参加できて、野鳥の名前や見つけ方などを教えてもらえるため、オススメです。経験者に話を聞いて情報交換をするのも、知識を深めるだけでなく、交流を広げる手段としても有効になります。

気軽に行けないと思っていた撮影の場も、人との交流があることで、知識を得られたり親しい人に会えたりと、イメージは変わるでしょう。野鳥は身近な存在だとは知っているものの、意識して見ることは少ないかもしれません。

鳥たちの過ごしている環境を守りながら、お気に入りの野鳥の魅力を伝えられるように、知識を身につけ撮影にのぞみましょう。


この記事のまとめ 

● 野鳥を撮影するためには、相手を知ることが大切。知識や写真の技術にしばられず、興味を持った鳥の知識を深めよう。

● 
撮影に必要なものや、環境や野鳥を守るためのマナーがある。事前に調べてから撮影にのぞもう。なによりも鳥の暮らしを邪魔しないこと。

● 初心者向けの講座を活用したり、共通の知り合いをつくったりして、意見交換や交流の場をつくることも大切。



(執筆:佐藤志乃・林幸奈 / 制作:一条恒熙)