●これからの学校の存在価値ってなに?(前編)

教科学習は塾で十分?安心して学べる環境は、一体どこに・・・

まわりに流されやすい子どもたちが学ぶべきこと。

 2019.08.29 11:00



この記事のポイント

 

●教科学習は、暗記よりも因果(原因と結果)関係を見抜く力が大切。

●校則改正はあらゆる規制からの解放ではなく、校訓に向かうべき。

●外から得た知識や他者からの指示をそのまま受け止めず、自分の考えを持とう!


インターネットの検索窓に「教科学習」と入れると、予測変換ワードに「暗記以外に大切なこと」と出てきた。



教育に関心のある人々が、本当に求めていることなのでしょう。時代によって、学習指導要領の内容は改定されます。ここ数年間、教育界の話題であった「アクティブラーニング」は「主体的・対話的で深い学び」という言葉に変わりました。はたして、公教育が掲げる指針や取り組みの変化とともに、本当に求められる力も変わっているのでしょうか?

 

 

今、社会には詰め込み教育、ゆとり教育、脱ゆとり教育と様々な教育を受けた人々が混在しています。

だれもが自分が生きてきた時代を失敗だと思いたくありません。だからこそ、時代をまたいだテーマについて考えるとき、現在に繋いでくれた人々の存在を意識したいと思っています。そこで、様々な立場の4人の方それぞれと教育の話をしてみました。


|受験のための勉強ではない!教科学習の本質とは何か?




佐藤。

SOCIO編集長。


佐藤|

山口大学教育学部・名誉教授の平川弥太郎先生にお聞きします。平川先生は史学がご専門ですが、歴史は暗記が多くて苦手という人も多いですよね? 


平川弥太郎(ひらかわ・やたろう)。

山口大学・教育学部・名誉教授。

著書に、「孤愁の赤椿: メルシオル熊谷豊前守元直の殉教 」、ほか多数


平川|

歴史学習では、覚えることが多いので、いやになるという人は多いです。しかし、これは受験だけを意識しているので、間違っていると思います。年月や事件などは、覚えなくても年表などを見ればよいはずだからです。


佐藤|

たしかに、このネット時代に、調べればすぐにわかることを必死に暗記 するというのは、労力をかけるところがちがう感じがします・・・。平川先生が考える、歴史の勉強とはなんでしょうか?


平川|

イギリスの著名な歴史家E・H・カーは、「歴史とは、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である」とのべています。世界中の多くの人々が、以前体験したことを参考にしながら、生活しています。現在も、わたしたちの住む社会では、政治・経済・社会などでさまざまな事件が起こっていて、混沌としています。

それらを整理し、因果(原因と結果)関係を見抜く力を養うのが歴史の勉強です。


佐藤|

因果関係を見抜く力・・・とは?


平川|

個別の事件や年を暗記するのではなく、その時期や年代に起こった事件の関係性を明らかにし、総体として把握する必要があります。

その際に、人々がどう生きてきたかを常に意識し、彼らの体験を重視すべきなのです。成功して得意となり、そのよろこびを子孫に伝えようとしたこと、災害にあい、途方に暮れながらも、懸命に再建していったこと、権力によって不当にあつかわれ、圧殺や弾圧されたが、子孫が懸命に生きのび、立派に再建したことなど、わたしたちの身の回りにはたくさんの出来事があるはずです。さあ、歴史学習を見直してみましょう。

 


佐藤|

教科書に載っているような歴史的大事件は、どこか自分とは別世界の話のように感じていました。ひとつひとつが私たちの暮らしをつくってきたのだと思うと、もっと知りたいことがたくさんありますね。

 

学校で勉強することは教科学習だけではありません。

つぎに、集団生活の中で得られる学びについても聞いていきたいと思います。


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