●自分を持っている人になる【前編】

だれかに認められると自信がつく。でも、だれかの声に支配されるのはやめよう。自立するための直観力ってなに?
2019.09.13 11:00

だれかの暮らしがSNSで簡単に見られる現代。コミュニケーションがさまざまな方法で取れる楽しさがある一方で、自分と他人をくらべて疲れてしまうことはありませんか?ネガティブな感情に支配されないために、より自分という存在を強く持つことが必要な時代になってきています。
4人の方にお話を聞きながら、自分を確立するためにはどうしたらよいか、【前編】・【後編】に渡って考えていきます。
この記事のポイント
●社会的に認められる人=素直な人。相手の事情を思いやる心が大切。
●今あるものを深めるか、新しいことをやってみると自信がつく。
|素直に人の話を聞くことが成長のはじまり

佐藤。

SOCIO編集長。

佐藤|
榎本医院・院長の榎本昭さんにお話をお聞きします。これまで医師としてたくさんの人と出会ってきたなかで、刺激を受けたのはどんな人ですか?

榎本昭(えのもと・あきら)

榎本医院 院長。

著書に『人類普遍の原理: 国際社会の平和と人類道徳の基準理念として

榎本|
今でも覚えている印象深い人が2人います。1人目は、東大耳鼻科の教授です。名講義で有名な方でしたが、わたしたちインターン生が講義を傍聴させていただいたとき、「わたしの話のなかでわかりにくい点や改善した方がよい点に気づかれたら教えてください」と言われました。
2人目は、東大内科の教授です。文化勲章を授けられた名医と言われた方です。「書かれた医学は過去の医学であり、悩める患者のなかにこそ明日の医学がある」との名言をのこされました。当時としては中々なかったことなのですが、在任中の入院全例の厳密な調査をし、最終講義で誤診率の結果を発表されました。おごり高ぶることなく、過去の自分を分析して未来をつくっていこうとする姿勢に感銘を受けました。
優れた学者は自己研鑽を欠かさず、より広い知識を得ることに努めています。さらにそれだけではなく、他人の意見にも耳を傾けることを忘れません。
佐藤|
1人目の方は、教授になっても素直な向上心があるところに好感が持てます。大学病院はきびしい縦社会という印象がありますが、当時は教授がインターン生に対しても意見を求めることは今よりもずっと珍しかったのではないでしょうか?
2人目の方は、サイレントマジョリティーを科学の力で浮き彫りにしたところ、自分の地位に甘んじることなく、率先して改善に切り込んだところがかっこいいです。
お話に出てきたお2人は、自分を過信せずに人の意見を聞いたからこそ、社会に貢献されたのですね。榎本さんが考える、「社会に認められる人」とはどんな人ですか?
榎本|
世界には、自分の利益だけを中心に考える人が多いと感じることがあります。他人に道徳的配慮を持ち、人類全体のことを考えなければなりません。世界のさまざまな問題解決のためには、一次的な損得ではなく、広い視野の考察が必要です。優れた人やものごとには、その背景に真理や真実が存在します。これが欠けていると、一時的な成功しかつけません。
まやかしの成功では本当の意味での幸福や平和は得られず、気がついたらだれもいなくなっていることでしょう。メッキはいつかはがれるものです。お互いの事情を考慮したうえで、あたたかい心で助け合って協力すべき人の意見にも耳を傾けることを忘れません。そういう人が増えて欲しいです。
佐藤|
「道徳的配慮」は本当に難しいことですね。日本では義務教育において道徳が教科化されていますが、本来正解があってないようなことを集団で学ぶ難しさがあります。また、教科化することで道徳観が評価され、多様性に適応することができるのか、という心配もあります。
時代に合わせて思いやりのカタチも変わっていくので、今に固執せず、広い視野と柔軟な心で思いやりについて考えていく必要がありますね。次に、どうしたら自分に自信が持てるのか考えていきます。

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