●みらいの孤独を回避する価値観とは?(後編)

ひとり好きでもひとりで生きていくことはできない。

老いと向き合いながら社会とつながり、人とともに生きる大切さを知ろう! 

 2019.08.29 11:00


この記事のポイント

 

●充実したコミュニケーション環境に身をおくと、豊かな人間性を獲得・維持できる。

●無理だと思うことでも、やってみると生き生きしてくる。

●無意識のうちに助け合っていて、だれにでも等しく存在意義がある。

 


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佐藤|

老いからくる無気力感によって、社会とのつながりが疎遠になることがあります。そうなる前に、人とつながれる場と接点を持っておくことが大切です。

まずは鹿児島大学・鹿児島県立短期大学名誉教授の種村完司さんにお聞きします。老いは怖くないですか?


話し手:種村完司(たねむら・かんじ)

鹿児島大学名誉教授、および鹿児島県立短期大学名誉教授。

著書に、「『こころ』と『からだ』のリアリズム」

種村|
だれでも死ぬことは怖いし、死に近づくことは楽しいわけではありません。ですが、逆らえない私たちの宿命です。だから、死を自覚しつつ、そして老いを受けいれつつ、生きていく他はないと思います。


佐藤|

どうやって怖さに立ち向かうのでしょうか?


種村|

老いは避けられませんが、老いとともに、老いを楽しむことはできます。私は、読書・原稿書き・囲碁などの考えることや、ボランティア活動・テニスなどのからだを動かすことのどちらも楽しんでいます。


佐藤|

ひとりでできることから、だれかと一緒にすることまで様々ですね。


種村|

なにをするのかによってメンバーが変わるのですが、どの仲間たちも、かけがえのない私の人生の同伴者です。

短い人生なのだから、周囲の人々と協力して、自分の心が喜ぶこと、自分のからだが喜ぶことに、注意と力を注いでみましょう。


佐藤|

色々なことに興味を持って、とりあえずやってみることで仲間を見つけられそうですね。


種村|

人間は生まれてから死ぬまで、コミュニケーション的存在でありつづけています。それゆえ、充実したコミュニケーション的関係の中に身をおいてこそ、すぐれた豊かな人間性を獲得・維持できるし、真に人生の質(QOL)を高めることができるはずです。これは、著書『コミュニケーションの哲学』でも指摘したことです。


佐藤|

自分がどこで誰となにをすれば心地よいのか知っておくことが大切ですね。好き勝手するということではなく、自分の居場所は自分で選ぶことができるのだと思わされました。

次に、宮崎県手をつなぐ育成会理事・都城市障がい者団体連絡協議会監事の坂元達男さんにお聞きします。老いていくことを気にしてしまう人はどうすればいいのでしょうか?


話し手:坂元達男(さかもと・たつお)

宮崎県手をつなぐ育成会理事、および都城市障がい者団体連絡協議会 監事。

著書に、「おばあちゃん、いっしょに笑おうよ− 痴呆症の母との暮らし」


坂元|

生ある限り、老いは誰にでも訪れます。いちいち気にしないよう心がけましょう。気になるとすれば、なにか熱中することを見つけることです。趣味でもいい。なにかの役員でもいい。少しハードルが高いように感じることも、やってみたら意外と生き生きとしてきます。


佐藤|

趣味がないことが悩みの人もいますよね。所属した場でできることをやってみるのが大切ということでしょうか?


坂元|

なんでもやってみることによって仲間も、会話も、学ぶことも増えていきます。ひとりきりで家にじっとしていることも少なくなり、外に出る機会があれば、外見も少しは気になり、お洒落心も身に付いてくるでしょう。年を重ねると何事にも無関心になりがちですが、一人でも多くの人に会う努力をし、ワクワク感を増やしましょう。


佐藤|

だれかと会う予定があると、繰り返しの毎日が潤いますね。「どんな服を着て会いに行こうか」、そんな日常をワクワクさせる悩みがあったら素敵だな、と思いました。

 

3人の方々からお話をお聞きしましたが、どれにも共通している考えは、私たちは助け合って暮らしているということです。だれかがそこにいるだけで、無意識のうちに精神的な支えになっていることがあります。自分の存在もだれかにとってはそうなのかもしれない、と考えると、だれにでも等しく存在意義があるのだと思います。

 

自分から社会とつながることを恐れず、みらいに向かっていってほしいです。